皮膚はたくさんの感覚を感じ取ることができます。
「ふわふわのタオルは気持ちいい」、「針などに刺さると痛い」、「氷は冷たい」などと、人間が感じることができるのは、皮膚にある『感覚点』と『受容器』があるためです。
『感覚点』で受け取れる感覚は5つあり、皮膚の内側にはこの5つの感覚を受け取る『受容器』がそれぞれにあります。
①触れたこと(触点):マイスネル小体とメルケル小体
・マイスネル小体・・・手の掌側や足の底側、陰核、陰茎亀頭などの神経乳頭内にある、長さ0.1㎜程の楕円体をしている部位。
・メルケル小体・・・知覚神経の末端が円盤状に広がり、表皮内の触覚細胞(メルケル細胞)に接している。皮膚、毛、重層扁平上皮の粘膜にある。
②おさえていること(圧点):ファーター・パチニ小体
皮膚の皮下組織や関節の周囲、手の掌側や足の底側に多い。0.5~4㎜ほどの楕円体で、断面は玉ねぎの横断面のように見える。(振動も感知している。)
③痛み(痛点):自由神経終末
神経の終末が露出して終わっているもの。全身の上皮や結合組織、筋に分布している。
④温かさ(温点):ルフィニ小体と自由神経終末
・ルフィニ小体・・・手指や足底の皮下や関節周囲にあり、紡錘型をしていて、長いものは3㎜近くある。(皮膚の引っ張りなども感知している。)
⑤冷たさ(冷点):クラウゼ小体と自由神経終末
・クラウゼ小体・・・真皮、結膜、口腔、鼻腔粘膜下に存在し、楕円形あるいは球形の構造を持つ。
この『受容器』で感じた感覚や情報は、『体性神経』を通して大脳皮質の頭頂葉にある『体性感覚野』に伝えられます。(「体性感覚」とは触覚・温度感覚・痛覚の「皮膚感覚」と、筋や腱・関節などに起こる「深部感覚」からなり、「内臓感覚」は含みません。)
『体性感覚野』は帯のように並んでおり、感覚情報の認識や筋肉を動かす指令を出す「一次体性感覚野(SⅠ)」と、一次体性感覚野でとった情報の性質を学習や記憶に基づき識別する「二次体性感覚野(SⅡ)」の2つがあります。
このSⅠ、SⅡには「体部位再現」があります。「体部位再現」とは、脳の局所と各身体部位に点対点(1対1)の対応関係があることいいます。
そして、この「体部位再現」でSⅠにはわかりやすい図があり、カナダの脳外科医ワイルダー・ペンフィールドらによる『ホムンクルス(小人間像)』が有名です。皆さんも一度は見たこともあるかと思います。
さて、「熱いお茶を飲むとき、触ると熱いのに飲むことができる」のは何故でしょうか?
それは、1つの理由として『手と口の「温点」の数が違う』ためです。
1平方センチメートル当たりの「温点」の数は、手が数個、口は約1個です。
ですので、手は熱さを感じやすく、口は手より感じにくい、だから「熱いお茶は触ると熱いのに飲める」のです。
「触れて感じる」という動作は簡単なことのように思いますが、実は人間の中ではたくさんの複雑なことが行われており、それを一瞬で行っているのです。
参考資料:
ぜんぶわかる 人体解剖図 (著:坂井 建雄・橋本 尚詞)
やさしくわかる 子どものための医学 人体のふしぎな話365(ナツメ社)
参考URL: