人はいつから「解剖」しているのでしょうか?
 
「解剖」という考え方(解剖学)がなければ今の医学はここまで発展はしませんでした。
「解剖」は、医学教育(病理学)はもちろん、事件解決(法医学)や臓器移植などにも貢献しており、今では当たり前の行為として行われています。
 
漢字に「心」というものがあります。「心=心臓」のことというのは100も承知ですが、ということは『体の中にあるものを漢字にしている』ので、「心」という漢字は人を「解剖」しないとできなかった漢字だといえます。
漢字は象形文字が変化してできたものですので、「解剖」という考え方は「心」という漢字(象形文字)ができたときにはもう存在したと推測できます。
人間の感情を表すために「心」という漢字は大変多く使われています。
(いむ) ・忍 (しのぶ) ・怒 (いかる) ・恐 (おそれる) ・恥 (はじらう) ・恋 (こい) ・悲 (かなしい) ・愁 (うれえる) ・慕 (したう) ・憂 (うれえる) ・怪 (あやしむ) ・怖 (こわい) ・悔 (くやむ) ・恨 (うらむ) ・惜 (おしむ) ・悼 (いたむ) ・愉 (たのしむ) ・憎 (にくむ) ・憤 (いきどおる) ・懐 (なつかしむ) など
「解剖」がなければ、人の感情を漢字で表現できなかったかもしれませんね。
 
なお、海外では紀元前3500年頃(古代エジプト)に「解剖」の記述があり、日本ではあの有名な「日本書紀」に記述されているそうです。
 
解剖学は大きく3種類に分類されます。
①肉眼解剖学・・・「解体新書」などでみられるような、肉眼あるいはルーペ程度の拡大による観察で調べられる範囲で、対象の形態、構造を記述する学問。教育の一環として行われる解剖学はここに含まれる。(系統解剖学)
②顕微解剖学(組織学)・・・顕微鏡などを使う、肉眼では観察できない微細な構造について、顕微鏡を駆使して調べ、構造を記載する学問。
③比較解剖学・・・複数の生物種の構造を比較することから、それらに共通する一般的で重要な事項を考察する学問。
 
薬学でも「解剖」は授業の一つとして存在します。
自分も動物を使った解剖をし、投与した薬物がどのように体内を移行するか、頭部を切断してどのような動き(反射)があるかなどの実験をしましたが、なかなか「解剖」というのはイメージの悪いものではあります。
しかし、医学の進歩や生命の大切さを知るうえでは欠かせないものです。
 
今、人間が長く生きていられるのは、たくさんの命を調べた結果です。
「解剖」の存在や意味を少しでも気にしたり考えることが、大切な命を思うことにつながるのではないかと思います。
 
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