わたしたちの宣戦布告 | Untitled



わたしたちの宣戦布告(’11)フランス国旗

監督:ヴァレリー・ドンゼッリ


愛する息子が重い病に・・・・・ それがどうした、闘うのよ!

“フレンチ・フィーメイル・ニューウェイブ” で紹介された

『ベルヴィル・トーキョー』 で主演を務めた女優ヴァレリー・ドンゼッリ

実は、彼女も次世代を担う “女流監督” だった!



出会った瞬間から恋に落ちたふたり

ロメオ(ジェレミー・エルカイム)とジュリエット(ヴァレリー・ドンゼッリ)

息子アダムが誕生し、家族三人の幸せな生活が始まったが

アダムの様子がおかしいことに気づく。病院での診察の結果

アダムはラブドイド腫瘍という難病に侵されていることが発覚する。

回復する可能性は10%……思いもよらぬ困難に打ちのめされるふたり。

しかし、二人はお互いに励まし、助け合いながら、息子の病魔と闘って行く。



いわゆる “病気もの” の、お涙頂戴的な映画は、ほんと大嫌いなんですが

この若き女流監督は、そんな私の気持ちに応えてくれた気がします。

重いテーマを扱った映画なはずなのに、ポップで疾走感あふれる映像。

子供の病気を通した、若いカップルのみずみずしい青春映画になってるんです。

病気だからって、神聖に扱う必要もないし、お通夜みたいにしなくたっていい。

つらくて苦しい時こそ、遊び心やユーモアを持って突っ走るんだ!

実際、ヴァレリー・ドンゼッリが本当の病院の中を全力疾走する(笑)

『ベルヴィル・トーキョー』でも共演していたロメオ役のジェレミー・エルカイムは

ヴァレリー・ドンゼッリの元パートナーで、脚本にも参加していて

というのも、二人の子供が重病になって、この映画が生まれたらしい。

その二人の実の子供も成長したアダム役で出演しています。



アパートを売り払い、仕事も辞め、医療施設に篭りっぱなしになっても

ヒマをみつけては、遊園地に行ったり、友達の誕生パーティーに繰り出し

飲んで、歌って、踊って、叫んで、明日へのエネルギーを充電する。 

そして、病と闘う愛する子供にありったけの愛情を注ぎ、一緒に闘いを挑む。

そうした中で、若いカップルが父親として母親として成長していくんです。

ロック、クラシック、エレクトロポップと、グザヴィエ・ドランのように

さまざまなジャンルの音楽を大胆に織り交ぜて

フレームの中に “赤”アイテムを配して、画が映えるようにして

これまで画一的に描かれていた“病気もの”映画に対し宣戦布告しています。

この映画は、病気に対して宣戦布告した若いカップルの物語でもあり

社会の既成概念に対する宣戦布告でもある映画なんだと思います。

女流監督ヴァレリー・ドンゼッリ。 覚えておいて損はないと思います。




息子に難病が発見された。愛するなら闘え、希望に向かって!
これは「ロミオとジュリエット」の名を持つ二人だけに与えられた運命なのか?
その試練に立ち向かい、乗り越えていく家族の実話を基にした激しく強い愛の物語!
わたしたちの宣戦布告 [DVD]/ヴァレリー・ドンゼッリ,ジェレミー・エルカイム

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