本人はいきなり癌の告知を受け

 →肝臓がんになってしまった2

 

とりあえず家族への告知は本人が済ませ

 →肝臓がんになってしまった6

 

手術予定三週間前に

かみさんと一緒に病院に赴き

まず最初に

麻酔外来へ行かされます

 

 

呼ばれると更に別室に通されて

もっさりとした

(失礼)

麻酔科の先生が

対面で今回の手術での麻酔について

説明をしてくれます

 

(というのも

多分麻酔科の事前説明は

それこそ今まで

嫌という程患者にされてきたのでしょう

この先生は最初から最後まで

もっさりとした雰囲気のままでした)

 

 

 

まず今回の手術は全身麻酔で行う事

 

そのため手術中はずっと眠ったままなので

本人は意識が無いので楽です

 

 

 

言ってくれたまではいいのですが

 

 

 

全身麻酔なために

呼吸が止まりますガーン

 

そのため気道確保が必要となり

人工呼吸器を使用して手術します

(新型コロナウイルスが蔓延する前でよかった!)

 

 

 

少しづつ

 

話は

あまり愉快な話では

なくなってゆきます

(元々手術そのものが全然愉快じゃない)

 

 

まず麻酔に伴う合併症の症例を

ずらずらと先生は読み上げてゆきます

 

 

気道確保の人工呼吸器使用には

金属製のチューブを気道の奥まで差し込むため

 

咽頭部損傷

その関連の症状

口腔内の雑菌が肺に入る時があるので

手術前の口腔ケアが必要な事

(これは手術の直前に

強制的に院内の歯科口腔外科に行かされます)

 

 

その他

循環器合併症

呼吸器合併症

薬物アレルギー

などなど

 

とても素人の(?)患者に

覚えきれるものでは

ありませんえーん

 

 

麻酔科の先生も

今まで同じことを嫌という程

言ってるので

 

説明が進むと

だんだん抑揚が無くなり

話声が呟き調になっていきます

 

 

ただ

 

それぞれの

症状説明の

前と後に必ずこう付け加えます

 

「ま

非常に稀であるのですが…………」

 

 

 

 

次に合併症の症状

列挙されてゆきます

 

 

吐き気

嘔吐

目眩

神経障害

術後の感覚障害

などなど

 

 

 

 

そして

 

これにも同じように

 

 

 

 

「ま

症例は

稀ではあるのですが…………」

 

 

 

そして

 

 

内容は更にエスカレートしてゆきますおばけくん

 

 

 

重篤な合併症(何が起こるか判らない)

覚醒遅延(麻酔から覚めない)

人工呼吸の継続(そのため自立呼吸が出来ない)

更にはICU(集中治療室)の

可能性もあると…………)

 

 

 

そして先生は

抑揚なく

 

こう付け足します

 

 

 

「ま

めったにないこと

なんですけど…………」

 

 

 

「…………」タラー

 

 

 

その後

麻酔科からの

手術前の注意事項

 

 

それに加え

教育機関の病院なので

研修医や救命士

実験台に麻酔手技を行う事がある事

 

 

実習研修の症例見本立ち合い等がある事などの

説明を受け

 

 

最後に同意書に

署名を求められます

 

 

 

同意書には今までの

何とも恐ろしい症状の

判例が明記されていて

その後

 

 

最後に

…………

納得した旨の内容の後

麻酔をうけることに

同意いたします…………

 

という文言が続き

日付と署名欄があります

 

 

あれだけ散々脅しといて

納得も同意もできるかっ!

 

 

言いたいのが本音ですが

 

これにサインしない限り

手術は受けられませんガーン

(患者は常に弱者です)

 

 

理不尽さに少し震える手で

書面にサインをします

(患者の負けです)

 

 

 

「じゃあ控えを持って

泌尿器科へ行ってください」

 

良くも悪くも

最後までもっさりとした

麻酔科の先生でした

 

 

 

待合室へ一旦戻ってから

 

「何だか手術を受けるより

怖い話だったね」

 

 

かみさんの言葉が

全てでした