谷川俊太郎さんの詩集
たまたま目について
パラパラと頁をめくっただけで
購入したこちらの作品
読めば読むほど
味のでる、深みを感じる
作品でした。◯
谷川俊太郎さんの詩で
思い出深いのは…
『 春に 』という
中学校の音楽の授業で
歌った曲の歌詞でした
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この気もちはなんだろう
枝の先のふくらんだ
新芽が心をつつく
よろこびだ
しかしかなしみでもある
いらだちだ
しかもやすらぎがある
あこがれだ
そしていかりがかくれている
心のダムにせきとめられ
よどみ渦まきせめぎあい
いまあふれようとする
この気もちはなんだろう
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一部抜粋させていただきました
すごく共感できる言葉で
噛み締めながら歌ったのを
昨日のことのように感じます。◯
こんなに美しく
繊細な詩があるかと思えば
驚くほど生々しい
そんな表現の詩があったり
とても色彩豊かな言葉の数々で
どの頁も埋め尽くされていました
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不機嫌な妻は
ジャガイモを剥きながら
からだの暗闇で
フロイトと不倫している
青空がありさえすれば
それだけでいい
そう思ったのは
高校の卒業式の朝のこと
あれから何度
商店街を往復したことか
当時の乳首が
今の乳首を見くびっている
愛なんて観念は
役立たずと知ってから
口数が多くなって
口も肥えた
不意に涙がこぼれるのは
まだ悲しみがあるから?
それとも家族の出払った
この午後の静けさのせい?
朝の市場のあの喧噪が
もう聞こえない
泥だらけの野菜の目で
今の自分を見てみたい
幸せから始まる考えが
どこかにあるはずなのに
心の奥に溜まり続ける
日々の燃えないゴミ
不機嫌な妻は台所の独房で
タマネギを切り刻み
中絶した子どもが
面会に来るのを待っている
「 不機嫌な妻 」
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深いなぁ…
わたしには描けない世界
感じない温度の色
やっぱり、スゴイです
言葉とことばの間にある
深いふかい霧の中に
大切な何かが
隠れているような気がします
でも、ただ純粋に
裏なんてない
そのままを受けとることで
得られる何かもあるような
本当に不思議な魅力を
持ったことばたちに
溢れた詩集でした
他にもたくさんの
有名な著書があるようので
いつか読んでみようと思います*
