初外泊が、外泊と言えるのかよくわからない0.5泊になって

娘は病院に戻った


電話しておいたから

確かペンタジンだったか鎮痛剤の点滴を用意しておいてくれた


娘は


「大丈夫?

ペンタジン用意してあるからね」


その言葉を聞いて安心したようだった




家に帰れるのは嬉しい

家には帰りたい



それでも


痛みどめナシでは不安で不安でしょうがないのだ





そのころは


テープに失敗し


MSコンチンという錠剤をベースに

即効性のある散剤をたしていた


だが、いくら即効性があると言っても


持続性の点滴からフェンタニルを注入していて

フラッシュするのとは全く違う


すぐには効かないのだ




痛い、といって

散剤を飲み

やはり最低でも30分はかかる。。。




だから


「痛くなりたくない。痛くなったらどうしよう」



と常に不安だったのだろう?





痛みから不眠にも陥っていた






週末外泊し、深夜、痛くなり病院に戻る


を2週間、繰り返した




もう家では眠れないのではないだろうか





家に帰りたい希望はしばらく捨てなければならないのか






「帰りたい

けど、コワイ」


いつもは強気な娘が、弱々しく言った






「いいものが来ることになったよ」



ドクターが言った



それが、PCAポンプだった



「今、病院で使っているフェンタニル(モルヒネ)を

そのままバッグに詰めて

病院のこの機械と同じように一定間隔で体内に送られるんだ。

だから、この機械の小型版だと思えばいい。

小さめのかばんくらいの大きさで

ポシェットみたいに肩ひもがついていて

持ち運ぶんだ。

これで、家にいても病院と同じだよ。

安心して帰れるよ」




なんだか大きくて不格好な装置を想像したが


思ったよりホンモノのポシェットに近くて

これなら不自然じゃない!と思った



これがあれば、帰れるかも


希望が膨らんだ







だが、あとで知ったことだが


このPCAポンプは末期がんの大人の患者には

よく使われるものらしい

だが、小児病院である娘の病院にはなくて

無理やり導入してもらったらしい


県立病院なのに

動きもはやくて助かったが


主治医が娘の病状をかなり悪く申告し


「もう余命いくばくもない子をどうしても家に帰してあげたい」

とか言ってくれたようだ



ウソも方便だが


それを知った時は


行く末を案じ、悲しかった


もちろん娘はそんな大人の裏事情など知らず

察していたかどうかは不明だが

たぶんそんなことには頓着せず



その後、最期までそのバッグを愛用するようになった






*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  





当時も気分は揺れに揺れていたが



今も揺れ揺れ、グラグラは変わらない。。。




もう少し落ち着いている気になっていたが

ここへきて


ぐらぐらだ





でも、仕事はありがたい


仕事モードに入ると


肩こりも頭痛も忘れてしまえる





娘も笑いながら


「今は思い切り働け」と言っている





「悩んで揺れるより、働いて、疲れて、寝ろ!」って