我が家はそれまで社宅住まいで

その社宅には期限があって

社宅を出なきゃならなくて…


それで、家を探していた


うちには娘を含め、3人の子どもがいて

当たり前だが、全員が


「個室がほしい」


とのたまう。




いまどき、4LDKなんて・・・・

うちはそれほどリッチじゃないんだから




子どもにそんな理屈が通じるわけはなく

4LDKを探していた




探し始めたのは、娘が1度目の移植を終え

退院してきてからだった

娘も元気になったし

引越しよう!


意気揚揚だった





4LDKはなかなか見つからず

あってもバカ高く




それでも、なんとか

やっとこさで、今の家が見つかった


見つかったころには、娘は再発していた





この家の内覧に来たとき


娘はたいそう体調が悪く

ちょっと見ただけで「いいんじゃない」といい

すぐに車に戻ってしまった






その新しい家には


娘の移植DAY0の前日(DAY-1)に引越しをした

8月5日だった




そして10月になって


やっと娘が新しい家に帰ってくる





ほとんど初めてといってもいいくらい

見知らぬ我が家だ





「新しい家には帰れないかもしれません」

「無菌室から出られないことも…」



そんな厳しいドクターの言葉を

思い返しては



「ふん、うちの娘のチカラを思い知ったか!!!」


とうそぶき(もちろん、心の奥底で)




それでも



不安で、不安で・・・・







「帰ってきた~」って娘は言った



妹弟は「あ、おかえり」って何事もなかったかのように言った

まるで、そこらのコンビニから帰ってきたかのように





何をして過ごしたんだろう

何を話したんだろう





でも、リビングで座っていられる時間は短くて

横の和室に布団を敷き

昼間も寝ていたような気がする




妹弟も


その和室に話しに行っていいものか

答えを見つけあぐねて・・・






そのころ、うちのリビングには

ソファがなかったのだ


テーブルといす、のみ



この部屋で

みんながいるリビングで

横になれるスペースを作ってやりたい



ソファを買おうか、ソファベッドの方がいいのか

そもそも置けるのか?

いや、いつ買いに行く?



でも、それまで・・・






そうだ!


キャンプ用のベッド!!!!





ちょっと不細工だが

リビングにキャンプベッドを設置して


娘はそこで横になっていた






「なんにもしなくても、家はいいなあ



特に、なんにもしなくても


時間があっという間に過ぎるよね」









そんな家での時間を満喫していたのに



夜中に激痛が走った




「痛い・・・・ムリ・・・・病院に帰る・・・・」





病棟に電話をかけ

夜中2時だったか3時だったか


娘を車に乗せ

病院にむかった






初外泊は、0.5泊になってしまった