■磁性流体の再充填
再充填するかどうか迷っていた磁性流体(フェローフルイド)ですが、AUDIX Studio1A の修理結果に気をよくして取り去ったままだった Spirit Absolute2 にも元通り入れてみることにしました。既にある程度満足できる音にはなっているので楽勝だろうと思っていましたが、技術や知識が無い者の悲しさ、結構苦労してしまいました。

使ったフェローフルイドは AUDIX Studio1A の修理の時に余分に買っておいたフェローテック社製のものです。充填方法などはまったく同じなので省略します。こちらも900uLでツイーター2本分いけました。
フェローフルイド注入

ちょっと入れすぎかなぁと思ったのですが、以前リムの内側に付いていたフェローフルイドの跡を見る限りここまで入っていたようです。表面張力で盛り上がっていますが粘度が高い&磁石に引かれているので流れ出すようなことはありません。
フェローフルイド注入後

1本目(コーティングの塗りをやり直したほう。前回センター出しで少し苦労した。)は難なく仕上がりました。よしこの調子で、と2本目(前回は一発で問題なく鳴っていた)も作業したのですが、ビビり音発生。しかも結構はっきりと歪みます。ああ~やはり一度直っていたものを欲を出していじくったのが悪かったか・・・。

原因究明のためにはひたすら観察するしかないのでバラして見ます。リムは真円になっているか、傾きや歪みは無いか、ゴミは付着していないか、リッツ線の引き出し部分が擦れたりしていないか、前回もやりましたが結構シビアです。
真円になっているか?

実はこの個体、ソフトドームが凹んだ際にリムが少し変形していて、その影響でエッジ部分のコーティング材が固まる際に微妙にリムが斜めになる「癖」がついていたようです。下の写真はソフトドームとボイスコイル部分を横から見たものですが、
並行になっているか?

ボイスコイルのリムがギャップに垂直に入るには、リムの延長線(青線)が垂直になっていなければなりません。そのためにはマグネット部に固定される座面の黒いプラスチック(緑線)と、リムの下端(ピンク線)が並行になっていなければならないわけです。この写真は修正途上なので並行に近づいていますが、実際には傾いてしまっていました。指で直して一時的に直っても、組んでしばらくするとまた傾いてビビり出すので、エッジの部分のコーティング材が少し濃くなっていた部分をアセトンで溶かし(上のソフトドームを裏側から見た写真で、リムの右側のエッジ部分の布目が一部透けているのはそのせいです)、綿棒の先で薄くコーティング液を塗り直したりして、なんとか並行になるように修正しました。最初に塗って乾燥させる時にそこまで見ていれば良かったのですがね。

ビビり音は解消されましたが、ではフェローフルイドを入れる前は何故ビビらなかったのか、多分ぎりぎり斜めで入っていたのでしょうね。フェローフルイドの自己配分機能も過信はできないということですね(当たり前ですが)。

■参考
フェローフルイド投入前後の周波数特性の比較です。
今回はマイクスタンドを使って BEHRINGER の ECM8000(補正無し) で録音比較しています。
部屋や外来ノイズの影響はありますがマイク位置は同じです。

スピーカーから10cmの距離でツイーター向けの測定(低音部はあてにならない)
ツイーター比較

スピーカーから60cmの距離でツイーターとウーハーの中心向けの測定
全体比較

聴感上の変化は、やはり AUDIX Studio1A の修理の時と同じで、高音全体がまとまる感じですがキラキラ・シャラシャラとした超高音域の伸びは少し落ちる感じです。

なお、単発正弦波だといまいちわからないツイーターのビビり検証では、窪田ミナさんによる「金の波 千の波」のピアノ・ソロ版が大活躍しました。新居昭乃さんだと「ばらの茂み」のチャイムが濁るかどうかも参考にしました。

(がんくま)