山下敦弘監督と山田孝之といえば『山田孝之の東京都北区赤羽』と『山田孝之のカンヌ映画祭』
からの『映画 山田孝之3Ⅾ』とタッグを組んだ盟友。
山下監督の作品をまったく観ていないらしい山田さんが
”山田孝之”ではない役で彼の作品に初主演した記念すべき映画。

山下監督の演出でどんな色彩を纏った作品になるのかと楽しみにしてた。

原作は未読ではあるけど、
右翼、埋蔵金に過去の経験から知的障害になった男に加えて
何故か空飛ぶ高性能ロボットまで出てくるとあって
ファンタジー要素込みで話についていけるのかな?と
少々不安があったのだけど、運悪く予感的中。

ちょっとレビューを読んでみても、”よくわからない”というワードが散見されるのには納得w

山田孝之演ずる右近。
常に社会に怒りを覚え、右翼に拾われ傾倒し、
汚いアパートに住み埋蔵金堀りを生業としてる。
”ちゃんと生きたいんだ”と喚く右近だけど、
ちゃんと生きるために能動的に何をしたのだろう?って思うと、
特に何もしていない。
情けないのは多恵子の部屋の窓に石を投げるのも左近。
自分からしたことは、牛山のためにデリヘルに電話したことくらいか。

左近の、もしまっとうに生活できてたとしも右翼に傾倒したのか?という問いかけに
答えられない右近が全てを物語ってる。

というか埋蔵金やロボ男のお伽話よりも、私にはこの作品は3人の男のセックスへの欲望の違い、
本能や女性への憧憬を描いた作品のような気がしてならなかった。

一番社会に慣れまともに近い左近のオフィスでのバックシーンには、いろいろと皮肉も込められていて哀しい。

牛山の月に向かって吠えるシーンの、そこまで女としたいのか?というちょっとした驚きと悲哀。
だけど、結局日本という国ではデリヘルにさえ拒否されて文明の発達してない島でついに、
という展開は壮大なダメ出しでしかないじゃん?と。
なので、観終わった後に残るのはなんだかなぁとモヤモヤ・・

初めてのセックスのあと結婚しようって言う、うぶ過ぎる右近。
そして、こんなに要る?っていう位セックスシーンがてんこ盛りだった右近。
首絞めのシーンでは顔が真っ赤なフグみたいになってるし
テレホンセックスのシーンなんて滑稽で、観てるこっちが恥ずかしくなる。
絶対に山下監督の山田さんに対する今までの作品での恨みつらみからの罰ゲームみたいで、
なんかもう笑うしかなかった。

山下監督、違ってたらごめんなさいw

まぁ、あんなお芝居まで躊躇なくやっちゃう”人気俳優”はそうそう居ないだろうというオチでw

とはいえ、どこか憎めない作品に仕上がってるのは、男たちのみっともなさが素直に描かれているせいなのかも。
またツッコミ入れながら鑑賞したいと思います。

あと、石橋けいさん、康すおんさんの演技は怖いくらい違和感なくて印象的でしたね。

最後に、 首くくり栲象さん出演のカンヌの休日のMVは素晴らしかったです。まだまだ活躍を観たかった。
ご冥福をお祈りします