「アイランド」 ★☆ | オスカーノユクエ 映画情報

「アイランド」 ★☆

アイランド

あのヤンチャ坊主マイケル・ベイがようやく独り立ちした記念すべき作品となるはずだった本作。恩師ブラッカイマーの元を巣立ち、これから本格的に金儲けの道に突き進もうとする野心のこもった作品だけに、全米での興行的不振はベイの高い鼻をポッキリと折るのに十分な衝撃だったろう。

正直なところ、この映画が全米でこれほど受け入れられなかった理由がよくわからない。良くも悪くも(まあ悪くも、だが)、この「アイランド」はマイケル・ベイらしい作品に仕上がっており、これまでの興行的成功を考えればヒットして当然のように見える。

クローンという倫理的に少々難しいところのある題材を選びながら、モラルに何ら配慮することのないベイの稚拙な語り口は以前にも増して快調。おそらく脚本段階ではもう少しマシな物語だったはずだが、ベイの参加で大味なバカ・アクションに塗り替えられてしまったのはミエミエだ。

出だしはよかった。もしかしたらベイは生まれ変わったんじゃないかと期待させるほどだ。主人公が悪夢から目覚めるあたりのトリッキーな編集は工夫の跡をうかがわせ、らしくない演出に思わず「おっ」と唸る。施設内のプロダクション・デザインは秀逸で魅力的な近未来を構築しており、狭い空間の中でも退屈せず物語は進行していく。

ところが主人公たちが真相を探り当て、施設の外に飛び出すあたりから物語のトーンは一変する。ここからが本領発揮とばかりにベイお得意のド派手アクションが次々と炸裂するのだ。何のことはない。出だしが良く見えたのは、単にベイが爆発をこらえていただけのことだった。

CG効果満載のこれらのアクションは単体では見どころたっぷりで楽しめるが、何の脈絡も説得力もないこれらの騒動が続けば続くほど、観客は物語への興味を失ってしまう。「人は生きるためなら何だってやる」という劇中の戯言はたぶんベイの座右の銘なのだろうが、そんな理不尽な論理を振りかざして主人公たちが追っ手をバタバタと殺していく様子を活写したところで何のカタルシスも生まれようがない。クローンの命を尊重するような素振りを見せながら、人間が死ぬことには一向にお構いなし。実にベイらしいわかりやすさだ。

作品がコケた本当の理由はわからないが、ともかく全米がベイのヤンチャにNOをたたきつけたことに拍手を送りたい。これで少しは自省してマシな映画を撮ろうという気になるだろうか?矛盾するようだが、これでベイが大人しくなってしまうのも少し悲しい。派手さだけが売り物の安いアクション活劇とわかっていてもついつい見に行ってしまう。ベイの映画に吸引力があることは否定しない。どうせバカなら貫き通して欲しいという気持ちがあるのもまた事実なのだ。