彼女は、捨てられた猫のように、

段ボール箱の中で、

身体をまるめてます。

 

 

僕には、

彼女が、なんで、

段ボール箱に入っているのか?

わかりません。

 

 

さらに、

僕にも、来て?って言うんです。

 

 

じつは、僕、彼女に、

片思いしているんです。

 

 

ですから、

入れるものなら、

一緒に入りたいです。

 

 

それで、

彼女が入っている段ボール箱の中に、

足を入れたんですけど、

彼女でいっぱいなので、

しゃがむこともできません。

 

 

ムリだよ

 

 

入れないのは、

あなたが、

物ではないって思っているからよ

 

 

もちろん、

物ではないって思っています。

 

 

段ボール箱では、もっと、ないです。

 

 

この段ボール箱が、小さすぎるんだよ

 

 

心に、大きいとか、小さいとか、

ないでしょ?

 

 

このダンボ-ル箱が、

僕の心なのか?

 

 

あなたの心よ

 

 

段ボール箱が、

僕の心って言われると、

ムッとします。

 

 

どうして、

段ボール箱が、僕の心なんだよ?

 

 

だって、

段ボール箱が、

物だって思っているでしょ?

 

 

物だよ

 

 

だから、物に見えるの。

 

あなたが見ているものは、

あなたの心なの

 

 

彼女の言っていることが、

ちんぷんかんぷんなんですけど、

考えてみれば、

これは、夢です。

 

 

夢だから、

水の底にいるんです。

 

 

ところが、

夢だと思ったら、

彼女の言っていることが、

わかったんです。

 

 

あっ、この段ボール箱は、僕だ

 

 

簡単に言えば、

夢は、僕の心だってことです。

 

 

物って、距離って言ったでしょ?

 

自分と、物とは、

別だと思うことが、距離なの

 

 

距離?

 

 

だって、あなたは、

物を、外側から見ていると、

思っているでしょ?

 

 

内側からは、見えないからね

 

 

見えるのよ

 

 

どうやって?

 

 

物は、あなたの内側にあるのよ?

 

 

確かに、

夢なら、物は、内側にあります。

 

 

何もかもが、夢なんですから。

 

 

物が、外側にあると思うから、

距離を作ってしまうの。

 

それが、

あなたという輪郭を作るの。

 

そして、

あなたを閉じこめているのよ

 

 

段ボール箱の中の彼女は、

かえって艶(あで)やかで、

僕は、

我慢できないのに、

しゃがむことも、できないでいるんです。

 

 

 

ー つづく ー

 

 

 

心が広いって、

物まで入れちゃうんですねウインクラブラブ