愛するなら
私の背中を、彼が、
リュックサック越しに押してくれて、
無事に登頂できました。
彼は、ここから、
向こうにある山の、
さらなる高みを目指します。
途中で、私も誘われたんですけど、
ヘトヘトです。
彼も、そんな私を、もう誘いません。
行ってしまいました。
私も、
彼を食事に誘えたらよかったんですけど・・・・・・
でも、私は、アトピー性皮膚炎で、
爛(ただ)れた皮膚の化け物です。
きっと、彼だって迷惑です。
それで、ひとりで、
山の上の飲食店に入りました。
占い師さんに、
結婚したかったら、
山の上の飲食店で食べろって
言われたからです。
食券機で、食券を買います。
カウンターで渡すと、
「まだ準備ができていないので、
少し時間がかかります」
と言われました。
自分で取りに行くセルフサービスです。
疲れ切っていたので、
しばらくボーッとしていました。
1時間くらい、そうしていました。
さすがに、あれ?って思います。
見回すと、
私よりずっと後(あと)に
入って来た人たちが、
もう食べています。
きっと、呼ばれたのに、
気づかないでいたんです。
食券の半券を持って、
カウンターに行きます。
ところが、やっぱり、
「準備ができていないので、
まだ時間がかかります」
って言われます。
首を傾げながら、テーブルに戻ります。
しばらくして、ふと、
準備ができていないって、
私のことかしら?
って思います。
衝撃を受けます。
私に準備ができていないって
受け取ったんです。
それで、飲食店を飛び出します。
彼のあとを追ったんです。
だって、結婚したいのに、
結婚できないって
思っているからです。
ダメだと思っているから、
ダメなんです。
私に準備が出来ていないんです。
アトピーだから、できないんではなくて、
できないって思っているから、
できないんです。
そこにあるのは、思いだけです。
彼が、
私とは、私の思いだって、
言っていたからです。
それで、彼を愛そうと決めたんです。
愛するなら、そこにあるのは、
愛だけのはずだからです。
そこにあるのは、
山ではなくて、愛なんです。
the end
山を作るなら、
問題の山ではなくて、
答えの山を作ってくださいね![]()
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