傷だらけのナス

 

 

 

 

 

占い師さんに、

結婚したければ、山に登って、

何か食べろって言われました。

 

 

でも、私が何かを食べる前に、

私が熊に食べられそうです。

 

 

そんな山の中です。

 

 

 

 

もっとも、私は、

傷だらけのナスのようです。

 

 

紫色のナスは、

傷がつくと、

茶色く皮がひび割れるんです。

 

 

私の皮も、茶色くひび割れています。

 

 

アトピー性皮膚炎だからです。

 

 

熊だって、

食べたくないかもしれないです。

 

 

男の人なら、もっと・・・・・・

 

 

そんなことを考えながら、

ひとりで落ち込んでいたら、

若い女の子がいました。

 

 

20歳くらいです。

 

 

女の私が見たって、

おいしそうです。

 

 

髪を、ふたつに結わいて、

両方に垂らしています。

 

 

色白で、かわいいです。

 

 

立ち止まって、

紅葉を写真に撮っています。

 

 

え?

 

こんな若い女の子が、

こんな山の中に、ひとり?

 

 

心配になって、見回したら、

私が追いかけていた彼が、

少し上で、

待つようにして、

女の子を見ています。

 

 

あんな所で、

男が、獲物を狙っている・・・・

 

 

ちょっと、お姉さんっ気(け)が出ます。

 

 

それで、女の子に声をかけます。

 

 

一緒に登る?

 

 

ところが、女の子は断ります。

 

 

だいじょうぶです

 

 

この山道は、

この2人にとって、

恋路なのかもしれません。

 

 

オバサンは、邪魔です。

 

 

それで、女の子を追い越して登ります。

 

 

彼にも、会釈して、追い越します。

 

 

まさか、女の子を襲ったりはしないよね?

 

 

心配になって、

振り返ったら、

彼が登って来ます。

 

 

女の子は、まだ立ち止まって、

写真を撮っています。

 

 

私は、思わず、彼を待ってしまいました。

 

 

彼が説明してくれます。

 

 

若い女の子、ひとりだから、

心配になって、

一緒に登って来たんですけど、

それが迷惑なのか、

なかなか登って来ないんです

 

 

私は、もう若くないから、

心配にはならなかったようです。

 

 

そのうえ、どうせ、

傷だらけのマズそうなナスですから。

 

 

 

ー つづく ー

 

 

 

 

このお姉さんは、どんなことでも、

山道にしちゃいますよねウインクラブラブ