彼女と僕は、レジを分解し始めます。

 

 

ところが、

プラスのネジと、

マイナスのネジとが、

交互に、

使われています。

 

 

・・・・これ、どうして、

全部、プラスのネジにしなかったんだろ?

 

 

プラスを支えているのが、

マイナスだからよ

 

 

支えているって?

 

 

プラスだけでは、

組み立てられないってこと

 

 

でしたら、僕、

プラスドライバーを持っているんで、

プラスのネジをはずします

 

 

じゃ、私は、マイナスね

 

 

彼女が、

マイナスのドライバーを振って、

見せるんですけど、

しゃがんで、股を開いているので、

そっちの方に、びっくりです。

 

 

そのうえ、

やっぱりヘンな声を出すんです。

 

 

マイナスのドライバーを回すとき、

力がいるので、

声が出てしまうのかもしれません。

 

 

小さい声なんですけど、

艶(なま)めかしいです。

 

 

裸でいるので、余計です。

 

 

さらに、プラスのネジと、

マイナスのネジとが、

入り組んでいるので、

僕らも、どうしても、

絡み合う格好になります。

 

 

僕は、彼女の肌に、

火照(ほて)ります。

 

 

引かれるんです。

 

 

まるで、プラスが、

マイナスに引かれるように、です。

 

 

彼女が、

睫毛(まつげ)が触れて来そうな距離で、

見つめます。

 

 

マイナスって、

壊れるイメージがあるでしょ?

 

 

・・・嫌なことが起こったときのことを

言っているんですか?

 

 

でも、僕は、

彼女に、近寄られすぎて、

ポーっとなっています。

 

 

でも、誤解なの

 

 

どんな誤解?

 

 

壊れるんじゃなくて、

戻るのよ

 

 

戻る?

 

 

あなただって、眠るでしょ?

 

ずっと起きていることなんて、

ムリでしょ?

 

 

・・・・ムリですね

 

 

ところが、すべては、

プラスとマイナスでできているのに、

マイナスを悪いことだと、

誤解しているの。

 

 

マイナスを、

欠けることだと、思っているのよ。

 

 

それで、補(おぎな)おうとするの。

 

 

だから、

何でも自分のものにしたがるの。

 

このレジのように、ね

 

 

レジを叩いて見せるんですけど、

しゃがんで、

片膝をついて、

僕の目の前で、

やっぱり股を開いているんです。

 

 

 

ー つづく ー

 

 

 

 

そこが、

マイナスのネジのようにも見えますウインクラブラブ