考え方
「おっぱい、吸ってみて?」
まるくて、果実のような乳房です。
乳首も、甘いように色づいています。
吸ってみると、
彼女が、僕の頭を、やさしく抱きます。
「・・・・いいでしょ?
こんな、いいものに、
あなたは、育てられたのよ?」
「赤ん坊のときに、
おっぱいを飲ませてもらったって
ことですか?」
地上に転がっている赤ん坊は、
母乳が出る女の人たちに、
代わる代わる抱いてもらいます。
「この世界は、波でもあり、
粒でもあるの。
波って、
すべては、つながっているってこと。
粒って、
切り離されているってこと。
わかるでしょ?」
「すべては、つながっているなんて、
思えないです」
「だから、あなたには、
あなたが粒に思えるの。
思えるんでしょ?」
「つまらない存在ってことですか?」
彼女が、僕を、
乳房に押し当てます。
美しいもので、
説明するかのようです。
「ものごとは、良くも考えられるし、
悪くも考えられる。
良く思えたら、波よ。
悪く思えたら、粒なの」
「どうして、良く思えると、
波なんですか?」
「良く思えるって、
受け入れるってことでしょ?
つながるってこと。
つながっていたら、波よ。
切り離されている波なんて、
ないんだから」
「波に見えたことないけど・・・」
この乳房だって、波には見えません。
「だから、飛べないのよ」
「僕が飛べないのは、
考え方だって言うんですか?」
彼女は、僕を見つめて、
いたずらっぽく笑います。
「今、浮かせてあげるから・・・・」
そう言うと、
僕の身体中にキスし始めたんです。
ー つづく ー
地球の話ではありません。
人間たちが浮いて、
飛んでいる星での話です![]()
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