E子の証言

 

 

 

    

 

 

 

ブランコに乗っていたE子が

消えてしまって、

すぐに警察に通報しました。

 

 

私は、砂浜に脱いでおいた、

サンダルをはいて、

E子の靴を持って、

E子のクルマで待ちます。

 

 

 

 

 

昨夜から一睡もしてなかったので、

ショックでぼんやりしているうち、

眠ってしまいました。

 

 

E子の夢を見ました。

 

 

E子は、私の手を引いて、

波打ち際に浮いている

ブランコに乗せようとします。

 

 

乗ってごらんよ。

 

 

スゴく気持ちいいんだから

 

 

幸せそうに、E子が笑います。

 

 

でも、私は失恋したばかりです。

 

 

そんな私に、E子が教えます。

 

 

私たちって、波なのよ?

 

 

波?

 

 

振動よ

 

 

ブランコが、波の上で、

揺れています。

 

 

でも、この私って、幻なの。

 

手を振ると、残像が見えるでしょ?

  

それよ

 

 

私の前で、手を振ってみせます。

 

 

さよなら、しているみたいにです。

 

 

身体って、小さなブランコよ。

 

 

私たちは、この小さなブランコに乗って、

私を、漕いでいるの

 

 

どうしてブランコなの?

 

 

残像だから

 

 

ブランコが?

 

 

私たちが

 

 

もともと泣きたかったので、

泣いてしまいました。

 

 

E子は、泣いた私を抱き寄せると、

私をブランコの乗せます。

 

 

私も、このブランコに乗るまで、

わからなかったの。

 

このブランコは、大きく揺れるのよ。

  

私って、

小さく揺れていただけだったの

 

 

慰めるように、

背中を押して、揺らします。

 

 

ふぁっとして、すぅーとします。

 

 

私も消えそうで、

ちょっと怖いです。

 

 

怖がらないで?

 

怖がっているっていうのが、

私なの。

 

私って、震えているだけなのよ。

 

 

怖れで、震えているだけ

 

 

でも、消えちゃったら、怖いよ?

 

 

E子は、消えてしまったんです。

 

 

消えるんじゃないのよ。

 

 

震えるのをやめるだけよ

 

 

もっと押して、

大きく揺らしてくれます。

 

 

でも、

戻るとか、帰るって

感じなんです。

 

 

すべてと、ひとつに、なりそうです。

 

 

スゴく気持ちよくて、

私を忘れてしまいそうなんです。

 

 

それで、私も、気持ちよくなって、

自分で、揺らし始めます。

 

 

小さな私という枠から出たくなって、

揺らすんです。

 

 

ところが、もうすぐ、

もっと大きく揺れるってところで、

クルマの窓ガラスが叩かれます。

 

 

叩いたのは、警察官です。

 

 

通報したので、来たんです。

 

 

でも、私、睨んでしまいました。

 

 

あと、もう少しで、

もっと大きく揺れそうだったのにって、

睨んでしまったんです。

 

 

 

 

 

 

 

the end

 

 

 

 

 

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