トベル、カラ、ネ
彼女が、乳首を触らせてくれるって、言うんですけど、触ったら、10万円でも、彼女を買っちゃいますよね?
ペットショップで、仔猫や仔犬を抱かせようとするのと、一緒です。
「10万円か・・・・・・天使だったら、もう少し負けてくれない?」
「テンシ、マケナイ。
アクマ、ニモ、マケナイ」
「そもそも、天使だったら、お金なんか、いらないでしょ?」
「オカネ、ッテ、アイ、ダモノ。
テンシ、ハ、アイ、ヲ、アツメル」
僕は、苦笑いです。
「1回、10万円の愛ですか?」
彼女が、突き出した、胸を振ります。
「1マイ、10マン」
「枚って、どういうことですか?」
彼女が、乳首をいじっていた指で、白い画用紙を、つまみあげます。
「ズット、コレ、デショ?」
「もしかして、本気で、画用紙を、1枚、10万円で、売ろうとしてるんですか?」
彼女が、青い瞳(め)で、何度も、うなずいてみせます。
「いくら、あなたがカワイイからって、画用紙1枚を、10万円って、ムリですよ。
怖いお兄さんに捕まるまえに、お巡りさんに、捕まっちゃいますよ?」
「テンシ、ツカマラナイ、ヨ。
トベル、カラ、ネ」
どこまで彼女は、本気なのか?
僕が首を傾(かし)げると、彼女も、同じ向きに、同じだけ、首を傾(かたむ)けてみせるんです。
ー つづく ー
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