最終話 初キス
ここまでのあらすじ
カナは、生まれたときから、体重がなかった。
初恋の男の子に、好きって言われて、カナは、その男の子ごと、空高く舞い上がってしまった。
急降下したり、急上昇したり、まるで、思春期の、女の子の心そのままです。
地に足が着かないでいるところまで、そっくりです。
わたしたちは、雲の、ずっと上で、抱き合って、夕日を見ていました。
あまりの美しさに、ミツルが、わたしに、キスしたんです。
ふたりとも、初キスで、目を閉じていたんですけど、天にも昇る思いでした。
ところが、目を開けてみると、本当に、宇宙に、飛び出していたんです。 光り輝く星々の中に、です。
地球が、純粋な魂(たましい)のように、宇宙空間に、浮かんでいます。
「宇宙って、空気がないんだろ?
オレたち、死ぬのか?」
わたしも、地球を見つめていました。
「・・・・・なぜ、私に、体重がないのか、わかったわ」
「どうして?」
「だって、地球だって、浮かんでるもん」
「浮かんでいたって、重さはあるだろ?」
わたしは、首をかしげます。
「重さがあっても、浮かぶの?」
ミツルも、首をかしげます。
「どうして地球は、重いはずなのに、浮かんでるんだろ?」
「地球って、自分のことを、地球って、思ってないのかも」
「まぁ、思ってないだろうな。
地球なんだから」
「もし、すべてが、ひとつなら、重さって、ないでしょ?」
「・・・・・そうなのか?」
「どこまでも、ひとつなのよ?
重いとか、軽いって、ひとつじゃないって、ことでしょ?
だから、ひとつに、重さは、ないでしょ?」
「でも、オレには、あるよ」
「それが、きっと、重さなのよ。
オレは、あるっていう重さ」
素直に、首を傾げているミツルに、わたしから誘(さそ)いました。
「せっかく、宇宙まで、来たんだから、宇宙でデートしない?」
「・・・・・どうせなら、ひとつに、なるか?」
「あっ、Hなこと、考えてるでしょ?」
「・・・・・考えてる」
「いいよ」
「いいのか?」
「だって、もともと、ひとつなのよ。
地球が、浮かんでいるのだって、きっと、それを、教えてくれているだもん。
だったら、わたしも、ひとつになりたい・・・・・」
わたしは、地球も浮かんでいるのを見て、ほっとできたんです。
いつも、わたしだけが、みんなから浮いているって、ずっと悩んでいたんです(笑)
ー おわり ー
最後まで読んでいただいて、ありがとうございます😊

