日本の住宅の未来(その1) | 天下泰平

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〜 滝沢泰平 公式ブログ 〜

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※「ハウスメーカーと官僚がダメにした日本の住宅」澤田 升男

本日より4月となり、学生や新社会人に限らず、日本の社会にとっては3月から4月というのは1つの節目の切り替わりであり、ようやく社会も2013年が本格的に始まったと思います。

私個人のことを言えば、執筆も一段落し、外出も一段落しそうなので、4月からはブログなども本来の更新ペースに戻せるとは思います。

といっても、大きく今までと内容が変わるわけではありませんが、今後はなるべく文章の量は少なく、伝えたいことにポイントを絞って情報をお届け出来ればとは思っています。

ということで、4月最初の記事としては、今まであまり扱っていなかった「衣食住」「住」に関わることをお伝えできればと思います。尚、この「住」については、今後の重要なテーマの1つでもあるので、今年からは定期的に情報を発信できればと思います。

まず、なぜ突然に「住」かといえば、すでにご存知の方はご存知のように、これから八ヶ岳南麓に移住するにあたって、家を建てる予定があるからです。

「衣食住」「衣」「食」については、自分なりにはこだわりがあり、より自然で健康にも良いものを選んで情報発信もして来ましたが、「住」という分野においては、重要ではあるものの、よほど仕事で関係していない限りは、そこまで本格的に学ぶ機会はありませんでした。

ただし、いざ自分自身が家を建てるとなると真剣になるものであり、一部は元々知っている知識もありましたが、ここであらためて「住」というものをそれなりに勉強したり調べました。

まず、本当に住宅については素人ではありましたが、最低限自分の中で「住宅において気をつけなければならない点」「こんな家に住みたい」という理想のイメージはありました。

それでは「住宅において気をつけなければならない点」というものからお伝えすると、その価値観が生まれたベースとなったのは、過去に「ハウスメーカーと官僚がダメにした日本の住宅」という澤田升男さんの本を読んだことです。

この本は、建築業界の敏腕コンサルタントである澤田升男さんが、建築や住宅業界の裏事情を包み隠さず、赤裸裸に暴露した本です。

この本を読むと、いかに日本の住宅産業がずさんであり、半分詐欺まがいの業界であるかが分かります。もちろん、このサイトへの訪問者の中には住宅業界関係者の方も多くいるとは思いますので、その人達のお仕事を否定するつもり一切ありませんが、それにしても、本に書かれていることが事実であれば、今の日本の住宅産業は、本当にぼったくりの世界です。

しかし、自分自身も本業はビジネスマンであり、各業界の中枢の人々ともある程度は親交があるので、それなりの生の声は聞いていますが、それからすると、この本に書かれていることは極めて事実に近いと思います。

日本の住宅の問題点をあげたらきりがないのですが、大きなポイントに絞ってお伝えすると、すべてに通じるキーワードは「寿命」という言葉です。

「寿命」とは、1つは「住宅の寿命」であり、もう1つは「住む人の寿命」です。

この2つの「寿命」に問題がある住宅となると、つまりは日本の住宅は「壊れやすく、病気にもなりやすい」ということになります。

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※こちらは平成8年の建設白書の「国別住宅平均寿命」データ

まず、物理的に壊れやすいことを象徴する数字として、日本の住宅の寿命は「26年」という統計データが出ていることを本書では紹介されています。

これは一昔前の研究データなので、恐らく、ここ10年前後でさらに壊れやすい家が多く登場しているので、今後はもっと「住宅の寿命」は短くなってくると思います。とあるCMで有名な格安ハウスメーカーの住宅においては、10年ほど経つと、ほぼ100%の住宅に何かしらの問題が発生するとも聞いています。

ちなみに、アメリカの住宅の寿命は「88年」であり、ヨーロッパに至っては「140年」という統計なので、いかに日本の住宅が「粗悪品」であるかが数字だけでもわかるかと思います。

しかし、日本の建築技術というのは決して低いわけではなく、むしろ逆に正倉院などのように1000年以上も木造建築物として問題なく存在しているケースも多々ありますので、本来は非常に建築技術は高い国です。

ということは、どこかで狂ってしまったわけですが、それは多くの方が想像するように、やはり資本主義経済の影響、具体的には高度経済成長期が原因であり、結局のところ「食」が崩壊した「大量生産」と同じ背景が「住」にも関わってきています。

高度経済成長期に都市圏で企業が成長・拡大することになり、そこで人口が集まってくることによって社宅などの準備が追いつかず、また企業の負担を軽減するためにも「住宅ローン」という仕組みを国が作ったところから歯車がおかしくなりました。

住宅ローンができたことによって、今までの「借金はダメ」という価値観から「家は借金をしてでも建てなさい」という風潮になり、そこで一般庶民でも簡単に家を建てられるようになってから、住宅の需要に対して生産が追いつかない時代がやって来てしまったのです。

古来の住宅作りのやり方は、職人が山から木を切って運び出して、部材を加工して家作りをしていたので、一軒の家も3年~4年かけて作っていたようですが、それがハウスメーカーが誕生することによって、工場による住宅部材の大量生産、施工期間短縮の時代へと入ったのです。

この住宅の工業化が進んだことで、やがて資本主義経済、大量生産のテーマとなる「人の命<お金」の影響によって、住む人の健康や地球環境を度外視した粗悪品による住宅作りが横行しました。

そして、それは、結果的に高度多湿の日本の気候にそぐわない住宅が乱立するようにもなり、やがて日本は30年も持たない住宅だらけとなってしまったのです。

「とはいえ、いくら粗悪品といえども、それでも住宅といえば人生で最も高級な買物なので、それなりの価値があるのでは?」という考えも当然ながらあります。

しかし、実際はハウスメーカーの利益は、販売価格の5割~6割であり、つまり、実際の住宅の価格は、売値の3割~4割程度となっているのが実情です。

仮に4000万円の家であれば、工場から出荷される時の原価は1600万円であり、それが、ハウスメーカー本社に卸される時には2400万円、展示場や支店に卸された時には3200万円、そして建て主が実際に買う時には4000万円と、ところどころで20%ずつ経費を上乗せして売られているのです。

それでは、ぼろ儲けした利益をハウスメーカーがそのまま自分の懐に入るかといえば、実際はCMなどの広告費や全国に無数ある展示場の運営費、そこの人件費などに消えているので、ようは、今の住宅価格とは、その素材の原価に加えて、広告費や人件費が同じくらい上乗せされて販売されているということです。

だから、住宅というのは人生最大の買物だったとしても、その実際の価値というのは、素材や建築技術にはほとんどなく、多くが目に見えない経費によって生まれた幻の価値であり、買った時点では、すでに存在していないのです。

そのため、海外の住宅などは、何十年や100年以上経過しても、その価値が下がらないどころか、中には上がるものが多くあるのに対し、日本の住宅は、買った時点で価値が激減し、中には建物があるがゆえに土地の価格が下がる(取り壊し代が必要となるため)ケースが圧倒的に多い状況となっています。

しかし、これが日本では当たり前であるので誰も違和感を感じていませんが、このように粗悪品を壊れることを前提で高額で売りつけているだけでなく、その「壊れること」を逆に商売に生かして、さらなるお金儲けを考えたのが恐ろしいことであり、それが「日本だけ」にしか存在しないビジネスであり、10兆円産業とも呼ばれている「リフォーム」という言葉です。

海外にはリフォーム業界という業界自体が存在してなく、5年や10年もしないうちでメンテナンスが必要になる住宅というのは「欠陥商品」であるのが一般的な住宅に対する価値観です。

ところが、この「リフォーム」という言葉も日本では当たり前の言葉として普及しており、住宅というのは、5年や10年以内に頻繁にメンテナンスをすることが当然だという認識を多くの人々が持っています。

これをリフォーム専門業者だけが、この「リフォーム」をやっていれば、まだコバンザメのように可愛いものですが、このリフォームを大々的にやってボロ儲けをしているのが、なんと元々の「欠陥商品」を売りつけたハウスメーカーなのです。

リフォーム業界の売上げベスト10のほとんどは、大手のハウスメーカーのリフォーム部門が占めています。

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それも10兆円産業と言われているように、そのリフォーム費用も簡単に何百万円という見積もりを出し、実際の原価に比べてかなり荒稼ぎをしているようです。

この「長くもたない」とか「壊れやすい」というのは、お金がすべてである資本主義経済の基本的なシステムであり、これがひどい状態となったのが、今の人間とクスリのマッチポンプの世界です。

つまり病気になりやすい地球環境や社会環境、体内環境をつくり、そして、なるべく病院に行かせるように仕向け、それを治すためと言いながら実際は依存させるためにクスリなどを永遠と売りつける商売です。

ようは資本主義経済の中では「永遠にもつ」とか「完全に治す(直す)」というのはタブーの世界であり、モノはゴミになればなるほど消費が生まれ、何ごとも問題が起これば起こるほど儲かるので、このシステムを運用し続ける限りは、この地球において循環社会というのは絶対に出来上がりません。

まぁ、話が少しそれてしまいましたが、この仕組みは「人生最大の買物」である住宅にも当然ながら組み込まれているものであり、結局のところ、日本においては、ハウスメーカーや官僚、他にもメディアなどもすべてグルになって日本人を借金漬けにして、粗悪品の住宅を日本中に売りさばくぼったくりビジネスへと手を出したのです。

「粗悪品、粗悪品」というと、すでに住宅を購入された方などにとったら耳障りな言葉かもしれませんが、単純に原価が安いだけならまだしも、これが本当に「粗悪品」であるのは、やはり「食」などと同じ様に、いつの間にか「住」も人間の健康をむしばむような世界へと入ってしまったからです。

つまり「食」の世界も大量生産・大量消費の「工業化」の影響により、生産の段階から化学肥料や農薬などの化学物質の使用が横行し、やがて加工においても「保存料」「添加物」でも化学物質が当たり前に利用されるようになりましたが、これは住宅業界でも同様であり、今までの日本らしい木造で素材の特性を生かした自然の家作りから、化学物質を利用した家作りへと変わってしまい、それによって多くの健康被害が続出するようになったのです。

それが「シックハウス」という言葉が流行ったり、急にアトピーやアレルギー、そして、うつ病などになる人が急増した原因の1つにもなっています。

人それぞれ、家にいる時間というのはバラバラですが、少なくとも寝ている時間は家にはいますし、赤ちゃんや子どもは大人に比べると、やはり家にいる時間は長いと思います。まして専業主婦ともなれば、ほとんどが家で過ごす時間が多いことになり、その家が人間の健康をむしばむようでは、長い人生における家の影響力とは計り知れないものとなります。

極端な話だと、今のままの住宅事情だと、家にいればいるほど不健康になるので、なるべく帰らずに外にいた方が健康という形になってしまいます。本来は、外でエネルギーを使い、それを充電する為に家に帰って休息するための役割が、反対に人間からエネルギーを奪う家となってしまっているのです。

逆にいえば、家が人間にとって本当の休息の場所となり、エネルギーを補充できる空間となれば、長い一生において、その人の人生が上手く進む方へと家が大きくサポートをすることにもなります。

ということで、結局長くなってしまいましたが、まずは今の日本の住宅事情に関する問題点のみをお伝えさせて頂きました。次回からは、それを改善するための「未来の家」について、今知っている限りの情報などを少しずつお伝えしていけたらと思います。

ただ、散々と「粗悪品」と言い続けた日本の住宅ですが、すべてが「粗悪品」ではなく、各地域の工務店などには、今でも良心的な事業を行っているところも多くあるでしょうし、最近は自然派や体に優しい家も着実に増えてきてはいます。

そして、何よりもやはり大事なのは、住む人の意識の問題であると思います。

明るく元気な家族であれば、それはどんな家であっても悪い影響は受けにくいでしょうし、いくら良い家に住んでいても、住んでいる人々がマイナス思考だったり、ケンカばかりするようでは、そこに住む人々の健康も悪くなってしまいます。

しかし、一方で新居に越してから異常に体調が悪くなった、急に家族の仲が悪くなったとか、何かしら悪い影響を感じるようでしたら、それは住宅の影響が少なからずあるとは思いますので、一度自分の住んでいる家というものが、一体どのような素材で作られているかなどを真剣に調べてみる必要があると思います。

「衣食住」と呼ばれているように、この中の「食」「住」を改善するだけでも、大きく人生が変わることもあります。

ちなみに、ここ近年における「オール電化」という言葉も、当然ながらハウスメーカー、官僚、メディアがグルになって動いたビジネスであり、その背後には電気を多く使ってもらって喜ぶ原子力利権の陰もあります。

これは化学物質に加えて、さらに「電磁波障害」という新たな健康被害を生み出したものであり、IHクッキングヒーターなどが妊婦に与える影響などを考えると、本当にひどい話です。

太陽光パネルのビジネスも、大量に作り過ぎてしまった太陽光パネルを国家レベルで処分するためにビジネス化させたものであり、あれも電気代を浮かして元を取る前に、まったく新しいエネルギーシステムが出来上がると思います。