殺処分ゼロは目標ではなく結果 | トレーナー金子真弓のhappy life with PUPS

殺処分ゼロは目標ではなく結果



前回の記事に大変多くの反響がありました。


ツイッターやFACEBOOKで紹介いただき、とても多くの方々から共感のお声をいただきました。




実はずっと前から「殺処分ゼロ運動」に異議を唱えています。


アメリカでNO Kill Selterが流行りだしたころに問題が増え、

結局今はNo Killのシェルターではなく、多くは譲渡を目指したシェルターになっています。


前回紹介した子供を襲い猫が救ったあの犬ですが、

あの犬は決してものすごく悪い犬ではありません。

安楽死をしなければならないワルモノだったのではなく、

普通の飼い主に譲渡できるようなレベルの犬ではなく、

とても難しい本能を持った犬だったということです。

そうした大変な犬を飼っている人はたくさんいます。

上手に管理をし、訓練をしています。

それでも本能を消し去ることが不可能で、

それを上手にコントロールできる環境と飼い主を見つけるのがとても困難だったということです。


安楽死に関しては、日本よりもアメリカの方が広く一般的に受け入れられています。

この安楽死に関しても日本はまだ遅れている事情がありますので、

いつかそれについても触れてみたいと思います。


たくさんのメッセージやコメントをいただきました。

皆さまお一人ずつにお返事できないままでいることをお詫び申し上げます。

いつか、お返事を!っと思っていても毎日の忙しさの中、どうしても優先順位に他の仕事が入ってしまいます。お許しください。



前回の記事はショップで買わないで! を訴えました。

過去記事にもたくさん書いています。

もちろんできれば欧米のようにまずはシェルターなどで里親を探しているワンコを家族に迎えることを選択肢に入れていただけることを強くお願いしたいです。


しかし、日本と言うのは、どうもまだまだ「子犬からじゃないと慣れない。」という勘違いや、

「純血種が欲しい。」などの流行の犬種に飛びつく傾向があります。


他の人が飼っていた犬や、少し大きくなった犬は受け入れられない人が多いようです。



オトナの犬を迎える利点はまた改めて書きたいと思いますが、

どうしても純血種、それも子犬がいい!という人があまりに多いので、

だったらきちんとしたルートから入手すべき!  っと強く訴えたいのです。



殺処分ゼロを「目指している」 団体がたくさんあり、とても違和感を覚えます。


最近は著名人もその名を利用して大きな影響を与えてくれています。

とても喜ばしい反面、「殺さない」ことばかりに集中してしまうことを危惧しています。


譲渡をするには、犬のきちんとしたアセスメントと適切なトレーニング(リハビリ)が不可欠です。

犬を愛することときちんとした目で判断し、適切なトレーニングを行うことはまた別なのです。



ある行政が「ゼロ」を達成した、と報告がされていました。

多くの方々の多大な尽力によりその結果が出たことは大変喜ばしいことであります。

しかしそれを維持することばかりに専念し、うっかり犬と新しい飼い主の新たなマッチングを早まり過ぎたり間違えないように願いたいです。


我が家は次から次へと犬や猫を保護しています。

過去記事にも書きましたが、ある成犬を受け入れた際にこんなやり取りがありました。


里親を待っていたその犬は、

小さなフワフワの犬ばかりの中で大きな身体を丸め隅っこに伏せていました。

きっとシャイなのだろう。シャイな犬ばかりを見てきたからこの子を引き取ろう。

っとまったく寄り付かない20kgほどの大きなオス犬を連れて帰りました。


少しずつ我が家に慣らし家族との距離も縮まっていったかと思ったある日、

家族の一人をバツバツを噛みました。

その後1週間後、別の家族の手もガブガブに噛みつきました。

ものすごく流血するほどに噛みつきました。

きっかけはちょっと首輪を触っとか、身体に触れたとかです。


職業柄、噛みつく犬のトレーニングや習性は心得ています。

しかし私が問題視したのは、

譲渡会に出ていたその犬が噛みつくことなど誰も教えてくれなかったことなんです。

すぐに担当者に事実を電話で伝えました。


すると驚いたことにそのスタッフはこんなことを言いました。

「そうでしたか。では戻してください。歯を削る処置をして外で飼ってくださる方に譲渡します。」


電話口で私の怒りがピークに達し、それでもなるべく冷静にこういいました。


「それは飼い殺しと言うものです。我が家で最後まで面倒を見ます。私が責任を持ってトレーニングします。しかしどうしてもダメだった場合、我が家の判断で安楽死をする可能性があります。それを承諾していだけますか。」



その後何年もかかってその犬との距離を再度縮め、

とてもステキな家族になりました。

しかし最後まで私以外の家族がシャンプーをすることはできませんでした。

また家族全員がその犬との上手な付き合い方をそれぞれにマスターしました。


きちんとしたアセスメント(評価)ができる人がいて、

そして適切なリハビリトレーニングをするスタッフがいて、

そして譲渡が可能となります。


子供を襲った犬のように、リハビリに多大な時間がかかり、その間シェルターのキャパをふさいでいるならば、

限られた資金の中で安楽死と言う選択肢を選ばざる得ない現実もあるのかもしれません。



我が家で流血するほど噛みついた犬は最後16歳で亡くなりました。

最後の6か月間は介護が必要となり、

ギリギリまで身体を触ろうとすると唸り、渾身の力を振り絞って噛みついてきていました。

そんなに頑張らなくていいよ、そんな風に声掛けしながら、家族で介護をし、

家族の前に最期を迎えました。


しあわせだったかどうかはその犬だけが知ることですが、

少なくとも私たち家族はその犬との時間は楽しいことがいっぱいでした。

噛みつく以外にとてもスィートな犬だったんですから。

でも歯を削られ外でつながれっぱなしで飼われていたら、どうなっていたのでしょう。


適切なアセスメントとトレーニングが行われ、その中で何が何でも殺さない、のではなく、

シビアだけれど本当の幸せを考えた判断ができる社会になることを切に願います。





殺処分ゼロを達成しても、それを公表しないところもあるそうです。

翌年に0が1になった際に非難されるからだそうです。


ゼロに近づけるため、各団体が譲渡に大きな力を注いでいます。

同時にショップやネットでの現状も多くの人に伝えるべく、たくさんの人が伝えていただけると嬉しいです。




最近は楽しい記事ではなく、こうしたちょっと悲しい現実の記事が多くなっています。

私たち犬にかかわる者は、ただ楽しいだけのトレーニングではなく、

こうした現実をお伝えすることも使命だと思っています。



だって犬と人の幸せな生活のお手伝いをするためにこの業界に入ったのですから。






次回記事もかなり深刻なケースを紹介したいと思います。






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