カジノのマネージャーを任された予想屋がボディーガードと女房に足を引っ張られ・・・「カジノ」を観て | パンクフロイドのブログ

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こうのすシネマ

午前十時の映画祭 より

 

製作:アメリカ

監督:マーティン・スコセッシ

脚本:ニコラ・ピレッジ マーティン・スコセッシ

原作:ニコラス・ピレッジ

撮影:ロバート・リチャードソン

美術:ダンテ・フェレッティ

音楽:ロビー・ロバートソン

出演:ロバート・デ・ニーロ シャロン・ストーン ジョー・ペシ ジェームズ・ウッズ

1996年4月20日公開

 

1970年代。“エース”と呼ばれる予想屋のサム・ロススティーン(ロバート・デ・ニーロ)は、高い的中率によってマフィアのボス達からも信頼されていました。 彼らはギャンブルを知り尽くしたサムを、ラスヴェガスの巨大カジノ「タンジール」の運営責任者に据えます。サムはカジノ運営に必要な免許を持っていませんでしたが、独自の才覚で店に多大な利益をもたらしました。

 

その頃、サムは「タンジール」に入り浸っていたハスラーのジンジャー(シャロン・ストーン)に一目惚れし、彼女に結婚を申し込みます。ジンジャーにはレスター(ジェームズ・ウッズ)というヒモが居ましたが、サムの熱意によって二人は結婚に到ります。

 

一方、マフィアのボスたちは多大な利益を生み出すサムを護るため、粗暴なニッキー(ジョー・ペシ)をボディーガードとしてラスヴェガスへ派遣します。サムはニッキーの度を越した暴力を知るだけに、彼の行動を危惧します。案の定、ニッキーは暴走を始め、その結果、警察からカジノへの出入りを一切禁止されます。 

 

ニッキーはやむを得ず、カジノにいた時に構築した情報網を使って荒稼ぎすると、その金でレストランを経営し始めます。更に故郷から弟や仲間を呼び寄せて強盗を働くようになりました。 また、ジンジャーはレスターに大金を渡すために夫に金の無心をしたため、レスターとの関係が切れていなかったことがバレてしまいます。サムは見せしめに、ニッキーの手下を借りてレスターを痛めつけます。 

 

同じ頃、サムは無能な従業員らを解雇しますが、その中に地元有力者の親戚が居たことから恨みを買ってしまいます。また、ニッキー達が目に余る行動をしたことでタンジールに対する監視の目も厳しくなり、マフィアのボス達への上納金も減り始めます。

 

そんな折、タンジールの表向きの社長であったフィリップ・グリーン(ケヴィン・ポラック)が女性から金の件で訴えられ、法廷でカジノの帳簿の提出を迫られます。マフィアへの横流しが発覚することを恐れたニッキーは女性を殺害し、そのことによってサムまでもFBIの監視対象となってしまいます・・・。 

 

本作は実話に基づいたフョクションだそうで、どこまで事実なのか想像を逞しくしながら観ました。その一方で、デ・ニーロとジョー・ペシのナレーションによって話が進行していき、主要人物二人の心情まで語られるため、少々説明過多のようにも感じられました。

 

映画はギャンブルの都の風物、カジノの仕組み、裏社会との関係等が綴られつつ、バックには往年のポップス、R&B、ロックが流れ、快調に進んでいきます。サムはマフィアのボスたちの覚えも目出度く、カジノを順調に運営していましたが、ニッキーをボディーガードとして起用したことと、ジンジャーと結婚したことにより暗雲が立ちこめます。

 

ジンジャーを演じるのがシャロン・ストーンなので、てっきり男たちを手玉に取る悪女をイメージしていたのですが、実際は愚かで弱い女の印象しか残らず、その点は些か拍子抜けした感がありました。尤も、サムもニッキーもジンジャーの浅はかな行動によって振り回されるので、ある意味、“宿命の女”の資格はあるかもしれません。

 

問題のあるニッキーやジンジャーに比べると、サムは理性的に思えますが、有力者が義弟を使い走りでもいいから雇ってくれと譲歩しているにも関わらず、突っぱねてしまう依怙地な面があります。嫉妬深く融通の利かないサム、仲間の妻を寝取る短気なニッキー、結婚した元カノに金をせびるレスターと、ダメンズ好きにはそれなりに楽しめましたが、彼らに付き合うのに3時間はさすがに長く感じられました。