チラシより
ファースト・オーダーの台頭によって恐怖が広がる世界に、強大なフォースを持つ2人の若者がいた。一人は天涯孤独ながら、BB-8との出会いからレジスタンスと運命を共にし、ついに内なるフォースを覚醒させたレイ。もう一人は、レジスタンスの英雄である両親に背を向け、ダース・ベイダーの遺志を継ぐ決意をしたカイロ・レン。“光”と“闇”の間で揺れ動く2人を待ち受ける“衝撃の運命”とは?ついに姿を現した伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーは何をもたらすのか?
製作:アメリカ
監督・脚本:ライアン・ジョンソン
撮影:スティーヴ・イェドリン
美術:リック・ハインリクス
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:デイジー・リドリー ジョン・ボヤーガ アダム・ドライバー オスカー・アイザック
マーク・ハミル キャリー・フィッシャー ローラ・ダーン ベニチオ・デル・トロ
2017年12月15日公開
前作の「フォースの覚醒」では、旧シリーズのメンバーを登場させる一方で、デイジー・リドリー、ジョン・ボヤーガなどの新しい血を投入したことにより、新旧の橋渡しをするJ・J・エイブラムスの狙いが的中しました。しかも、エピソード4から6の「スター・ウォーズ」ファンへの目配せも怠りなく、概ね好意的に迎えられたと思います。
「フォースの覚醒」が好評だった分、次作を製作するにあたって、かなりプレッシャーにもなった筈。特に、前作でやり残した宿題を如何に解きほぐすかは、懸念材料ではありました。冒頭こそ、いきなり戦闘シーンから始まり心踊らされるものの、それ以降は中二病をこじらせた若者、過去を悔やんで心を閉ざした老人、自分探しをしているファザコン気味の女の子のエピソードを延々見せられるため、本来SFアクションを売りにしているのにも関わらず、まどろっこしい展開に気も滅入ってきます。
ただし、若干退屈な部分を通過しないと、後半のカタルシスも味わえないので、痛し痒しと言ったところ。実際、ある地点を境に再び高揚する描写も戻るので、そこは我慢しないとね。それに、映画ではレジスタンスの負け戦、もしくは逃げ回る描写ばかりなので、自然とダウナーな気分になるのは仕方なく、その意味ではエピソード5「帝国の逆襲」と重ね合わせてしまいます。
本作は筋金入りの「スター・ウォーズ」ファンの間でも賛否は分かれており、ちなみにTBSラジオ「ウィークエンドシャッフル」での宇多丸さんの映画評は酷評でした。もちろんツッコミどころの多い映画には違いなく、否定する方の意見もお説御尤もと納得する部分はあるのですが、それでも嫌いにはなれないのですよ。
相互読者のブロガーさんが指摘されているように、シリーズを重ねるうちに出自や血統が色濃くなっていた物語を、その呪縛から解き放ち、もう一度名もなき人々の物語に引き戻した功績もそのひとつ。個人的には、(特に後半)心をグッと掴まれる描写の多かった事がプラスポイントになりました。先生から出された難問を、四苦八苦しながら独自の答えを導き出したというのが本作の印象。いずれにせよ、ライアン・ジョンソンにはご苦労様と言いたいですね。