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62/10/18(木)第03日
(準中距離弾道ミサイル(SS-4)2200N.M.)

マクナマラ国防長官 :昨夜から今日にかけて明確にしたかった点は、
全面的な侵攻以外、考えるべきではないという
私や軍首脳の立場です。ただこの場合も敵が核
装備に至っていないことが前提だということは
変りません。
ケネディ大統領 :24時間の猶予を考えて事前通告したら、その間
フルシチョフと接触したり同盟国に対処している
内にソ連は移動式ミサイルを森に隠してしまわな
いか。
マクナマラ国防長官 :わたしはそうは考えません。24時間以内にミサ
イルを移動する手段を、ソ連は持っていないと思
います。それができるとしたら、もっと迅速に発
射体制を整えることができたはず。だから24時
間以内にミサイルを移すことなどありえないでし
ょう。移動させたにせよ上空から十分な偵察をし
ていれば隠し場所を突き止めることができるはず
です。
ケネディ大統領 :もしモスクワと交渉するなら、使者をフルシチョ
フに派遣したとして返答が来るのにどれくらいか
かるか。
トンプソン前駐ソ大使 :通信手段にもよりますが5、6時間でしょう。む
ろん電話もありますが。
ケネディ大統領 :電話でなくても構わないね。
トンプソン前駐ソ大使 :高度な防諜装置がついた通信システムを使えば時
間を短縮できます。
ケネディ大統領 :2時間程度と考えてよいのか。
トンプソン前駐ソ大使 :海上封鎖と宣戦布告に向けた対応をとるべきです。
兵器、特に攻撃用兵器に対し封鎖を行っていると
世界に宣伝すれば、ロシア人は抵抗しないでしょ
う。
ケネディ大統領 :既に持ち込まれた兵器は?
トンプソン前駐ソ大使 :解体するよう要求し、偵察を続け、もし武装して
いたら攻撃すると伝えます。それからあるいは攻
撃します。これだけ無法なことを行うロシア人も
意外と法的根拠を欲しがるのです。宣戦布告を行
えばロシアは合法的に設置された軍事封鎖を突破
しなければならない。これは彼らを大いに牽制す
るでしょう。
トンプソン前駐ソ大使 :我々が第一撃を加えれば、おそらくフルシチョフ
はトルコにある我々の基地をすぐさま攻撃してく
る。それから「話し合おう」と言ってくるでしょ
う。キューバでの基地建設は交渉に向けての準備
です。基地を放棄させようと狙っているのです。
そう思える材料は沢山あります。例えば、兵器を
簡単にカムフラージュしたり森に隠したりできる
のになぜそうしないのか。発見されるよう仕向け
たのです。

(1961/06/ ウィーン米ソ首脳会談)

ケネディ大統領 :同盟国の間で二つの問題がある。ミサイル危機に
対して軍事行動を起こさざるを得ないと言えば彼
らは自らに危機が及ぶと感じ必ず反対するだろう。
このことは我々にとって大きなリスクだ。一方で
もし何の行動も起こさないとしても西側同盟は徐
々に崩壊してしまうだろう。

(アデナウアー西独首相)

ケネディ大統領 :フルシチョフはベルリンに侵攻する。すると西側
同盟は欧州を狙っている訳でもないミサイルの為
にベルリンを失うことになる。
マクナマラ国防長官 :ベルリンにソ連軍が侵攻するということですか。
ケネディ大統領 :そう思うのだが。
マクナマラ国防長官 :十分ありえます。そしてそこにはアメリカ軍がい
る。絶対ソ連は侵攻して来ます。
テイラー統合参謀本部議長:そうなると全面戦争だ。
バンディ国家安全保障担当大統領補佐官:全面戦争になるな。
ケネディ大統領 :核戦争になると?

(アメリカの賢人と謳われたロベット元国防長官に助言を求める)

ケネディ大統領 :ロバート・ロベットは、いかなる軍事行動も望ま
しくないと言った。ミサイル攻撃は西側同盟を崩
壊させるという。なぜならソ連が報復してくる。
そうなると米国は同盟国に責められる。報復の刃
がベルリンに向けられたらなおさらだ。それ程の
挑発も受けずにベルリンを失ったと言われるだろ
う。欧州は、もう何年もソ連の中距離ミサイルに
睨まれて暮らしているというのに---。他の者
は米国が的確に対応出来なければベルリンを守る
という米国の意志が疑われ同盟関係に亀裂が生じ
ると感じていた。そして2、3ヶ月中にベルリン
は危機に瀕し、その頃にはソ連は西半球に大きな
ミサイル兵器庫を作り上げているだろう。そうな
ると西半球での米国の立場は脆弱となり我々とソ
連との間でキューバはベルリンと同じ問題となっ
てしまうと彼らは考えていた。


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62/10/19(金)第04日
(統合参謀本部メンバー)
テイラー統合参謀本部議長:
ウィーラー陸軍参謀総長:
アンダーソン海軍作戦部長:
シューブ海兵隊総司令官:
ルメイ空軍参謀総長(都市無差別爆撃を立案):

ケネディ大統領 :キューバに手をかければソ連は必ず報復する。ソ
連がベルリンを奪い取る可能性をぐんと高めてし
まう。そうなってしまえば米国に残された選択肢
は核のボタンを押す以外ない。これは地獄の選択
だ。最悪の事態を招いてしまう。一方キューバを
封鎖すればソ連もベルリン封鎖に向かい欧州諸国
の反発を招く。同盟国はキューバ封鎖がベルリン
封鎖の引き金になったと受け取ろう。我々の満足
の行く選択肢などはありえないのだ。問題はキュ
ーバだけではなくベルリンにもあるのだ。欧州に
とってベルリンが重要であり、米国にとって同盟
国がいかに重要か。まさにこの点が3日間も我々
をジレンマに陥らせている。そうでなければ答え
など簡単にはじき出せる。
ルメイ空軍参謀総長 :米国がキューバを攻撃すればソ連はベルリンに侵
攻するという大統領の見解には反対です。むしろ
キューパで逃げ腰でいればソ連はベルリンに侵攻
をかけてくるでしょう。
ケネディ大統領 :ソ連はどう出てくる?
ルメイ空軍参謀総長 :ベルリン情勢は変らないと声明を出せばソ連は動
きません。もし侵攻されれば反撃あるのみです!

(元CIA偵察担当官デーノ・ブルジオーニ:)
(核の優位14:1)

ルメイ空軍参謀総長