エンタメ系で逝こう! -2ページ目

数奇にして模型

■C+

 

 森ミステリ版「首を切断した理由」。

 本格ミステリは斬首物が一ジャンルなのだけど、本作ではトリックよりもロジックとして処理される。それはそれで面白かったけど、その周囲の論理が面白かったかな。

 あと序盤でようやくこれまでのシリーズ作で厄介ネタだった、萌絵さんが事件に首を突っ込む不快さのエクスキューズというか開き直りが出てきて笑った。

今はもうない

■B

 

ミステリとしてはともかくラブロマンスとして狂おしく好き。

シリーズ内の番外編じゃないと成り立たないのでS&Mシリーズとして好きというしかない。

夏のレプリカ

■C

 

 理系の頭の良い女性がぐずぐずと落ちた小説として良かった。

 同ジャンルとしては野崎まどの小説版ファンタジスタドールイブがあるかな。

幻惑の死と使途

■C

 

 ホワイダニットが説明されきった後に、犯人は誰だったか「名前」を定義することで鮮やかに引っくり返るのは面白かった。

封印再度

■C

 

 事件がややこしくなった少年の証言はアンフェアではとは思うけど、疑おうと思えば疑えたのか。

 でも物理的な鍵トリックはちょっと専門的だけど綺麗だったと思う。

 しかし萌絵さん、そのエイプリルフールはいかんでしょ・・・

詩的私的ジャック

■C+

 

 連続する殺人事件――第一の殺人事件は動機が解明されることはないのだけど、その事件がさらに後の殺人事件の理解を断絶した動機になっていたという入れ子細工のホワイダニットを楽しめた。

 あとは犀川と萌絵の恋愛関係がそこそこ進展する小説としてもにやにやできたかな。

 ただ一番記憶に残っているのは、機会を逃しとまた1年後になる実験体が壊される藤原准教授が最も不憫だったことかな。

笑わない数学者

■B-

 

 図でトリックは直ぐ判ります。

 3人の内誰が誰なのかも、題名が定義とするとそこまで難しい問題ではありませんでした。

 ただ何故探偵役を含めて全然気づかないのかという逆トリックは言われてみないと気付きませんでした。そこを含めてのミステリであるので、流石かなと。

 

冷たい密室と博士たち

■C

 

 大胆かつ緻密なトリックで2つの密室に2つの死体を作ったアリバイ工作は良く出来ていた。

 ただ主人公たちが事件にかかわるのが無理筋で小説としては今一つ、特に萌絵が事件現場に忍び込むのは非常に無理があったと思う。

すべてがFになる 感想

■B+

 

 記念すべきS&Mシリーズ1作目。

 ロボットに乗せられて花嫁衣裳を着た手足のない死体が点滅する廊下を移動する――という最初の事件の発覚のイメージは鮮烈。

 PC・VR関連はレトロだけど間違ってはいないので、今読み直しても再読に耐えた。

 動機と心情を理解できないのも、天才性の顕れとして読めるし、新しいミステリとして出来が良い。

 返す返すこの作品をシリーズ1作目にしようと提言した編集者が優秀だと思う。

本と鍵の季節

■C+

 

 図書委員の男子高校生2人を主人公にした非殺人系のミステリ短編集。2人の視点の違いによる解釈のどちらが正しいかの齟齬がほろ苦い。