今日で、311東日本大震災から2年を迎えました。
PTSDの「具体的な対処法」や「サポートの仕方」を、
Niftyで連載したシリーズ(12回)を転載します。
PTSDを全体的に知りたい方は、こちらをどうぞ。
スライドシェア「PTSDのしくみから快復法まで」約1500views
→http://www.slideshare.net/eikomomose/ptsd-14361340
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東日本大震災以前、大きな津波被害を受けたもう一つの地域、スマトラ島沖地震を覚えていらっしゃるでしょうか。地震が起きたのは、2004年12月。20万人以上もの死者・行方不明者が出たとされています。
その3年半後、08年6月にアチェの中高生約300人に実施したアンケートの結果は、深刻な心のキズをうかがわせました。
「少しの音にもビクッとする」 85%
「その時のことを思い出すと、ドキドキして苦しくなる」 80%
「何かしようとしても集中できない」 79%
他にも、「自分のせいで悪いことが起こったと思う」「眠れず、途中で目がさめる」も、70%に上りました。
災害から3年半もの時が経っていながら、7~8割の子どもたちがまだまだPTSDの症状に苦しんでいたのですね。
このことからも、PTSDは長い時間のかかる病気だということがわかります。
■あせらないで、その人のペースで
私たちは1年もすると、つい「いつまでも被害のことを言っていてはダメ」「そんなことだから立ち直れない」「もっと前を向いて」といった、
励ましの言葉をかけてしまいがちです。
けれども、ツライ体験を負った人にとっては、そのことは一生忘れられない出来事なのです。
周囲から見て「忘れた方がいい」と判断したくなる場合も、
本人にとっては、まだ十分に苦しみを吐き出せていないかもしれません。
むしろ遠慮しているうちに、吐き出すタイミングを逸したまま時が過ぎてしまった場合だってあるでしょう。
そう。忘れられないほど大きな出来事であるからこそ、
向き合うこと、受けとめることは難しいんですね。
■向き合うことの大切さ
冒頭のアンケートでは、快復の方向に向かっている子どもたちも少なからずいて、二極化の様相が見えたそうです。
快復に向かうことができた子どもたちは、何が功を奏したのでしょうか?
その答えはわかりませんが、私たちの身近にもこんな実例があります。
ある人が、父親が亡くなった時に、母親や兄弟たちが涙する中で自分だけはなぜか泣けませんでした。そんな自分を「冷たい人間」だと、ずっと責めてきたと言うのです。
この人が泣けなかったのは、本当に「性格が冷たかったから」なのでしょうか?
むしろ事実が重すぎて、心が受けとめきれなかったように思えるのです。
その後、距離を置いていた家族と時間を持ち、お父さんの思い出話をするうちにポロポロと泣けてきて、抑えつけていたものがドッとあふれ出たそうです。
そこに至るまでには、数年が経っていました。
こんな風に、私たちは体験が大きければ大きいほど、重ければ重いほど、
受けとめることにも直視することにも、ためらいがあります。
生活や勉強や仕事や毎日の膨大な雑務に追われて、ともすれば、気持ちにちゃんと向き合ってあげる時間をとることは難しいかもしれません。
すると・・・そうですね、冷凍庫の奥に入れたまま食べていないものですとか、引っ越した時に段ボール箱にしまったまま開けていないモノたちのように、後回しにしたまま、時が過ぎてしまいます。
そんな宙ぶらりんな自分に罪悪感を感じたり、その間、イキイキとした感情を閉じて自制することだってあるのです。
確かに体験のまっただ中では、一番ツライ時期を乗り越えられるよう、
本能的に悲しみの箱を閉じておいたのかもしれません。
けれども、力がついたら、向き合うこともできるのです。
どんなツライ出来事も、その人にとって大切な人生の一部。
忘れるのではなく、大切な思い出にしていくために、
悲しみの箱に向き合う時がやってくるのかもしれませんね。
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★3月13日(水)19:30~21:30
いじめトークイベント。「いじめの構造」を一緒に考えませんか。
東京大学 駒場キャンパス 参加無料
詳細はこちら
→https://www.facebook.com/photo.php?fbid=492139644180156
★ネット記事「あなたの隣にある、いじめ」【TRAPRO関連記事】
http://www.trapro.jp/articles/176/
★3月24日(日)15:30~18:30
心のブレーキをはずし、人生が輝く「トラウマ解凍ワーク」
http://mental-support.main.jp/work/trauma/
PTSDの「具体的な対処法」や「サポートの仕方」を、
Niftyで連載したシリーズ(12回)を転載します。
PTSDを全体的に知りたい方は、こちらをどうぞ。
スライドシェア「PTSDのしくみから快復法まで」約1500views
→http://www.slideshare.net/eikomomose/ptsd-14361340
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東日本大震災以前、大きな津波被害を受けたもう一つの地域、スマトラ島沖地震を覚えていらっしゃるでしょうか。地震が起きたのは、2004年12月。20万人以上もの死者・行方不明者が出たとされています。
その3年半後、08年6月にアチェの中高生約300人に実施したアンケートの結果は、深刻な心のキズをうかがわせました。
「少しの音にもビクッとする」 85%
「その時のことを思い出すと、ドキドキして苦しくなる」 80%
「何かしようとしても集中できない」 79%
他にも、「自分のせいで悪いことが起こったと思う」「眠れず、途中で目がさめる」も、70%に上りました。
災害から3年半もの時が経っていながら、7~8割の子どもたちがまだまだPTSDの症状に苦しんでいたのですね。
このことからも、PTSDは長い時間のかかる病気だということがわかります。
■あせらないで、その人のペースで
私たちは1年もすると、つい「いつまでも被害のことを言っていてはダメ」「そんなことだから立ち直れない」「もっと前を向いて」といった、
励ましの言葉をかけてしまいがちです。
けれども、ツライ体験を負った人にとっては、そのことは一生忘れられない出来事なのです。
周囲から見て「忘れた方がいい」と判断したくなる場合も、
本人にとっては、まだ十分に苦しみを吐き出せていないかもしれません。
むしろ遠慮しているうちに、吐き出すタイミングを逸したまま時が過ぎてしまった場合だってあるでしょう。
そう。忘れられないほど大きな出来事であるからこそ、
向き合うこと、受けとめることは難しいんですね。
■向き合うことの大切さ
冒頭のアンケートでは、快復の方向に向かっている子どもたちも少なからずいて、二極化の様相が見えたそうです。
快復に向かうことができた子どもたちは、何が功を奏したのでしょうか?
その答えはわかりませんが、私たちの身近にもこんな実例があります。
ある人が、父親が亡くなった時に、母親や兄弟たちが涙する中で自分だけはなぜか泣けませんでした。そんな自分を「冷たい人間」だと、ずっと責めてきたと言うのです。
この人が泣けなかったのは、本当に「性格が冷たかったから」なのでしょうか?
むしろ事実が重すぎて、心が受けとめきれなかったように思えるのです。
その後、距離を置いていた家族と時間を持ち、お父さんの思い出話をするうちにポロポロと泣けてきて、抑えつけていたものがドッとあふれ出たそうです。
そこに至るまでには、数年が経っていました。
こんな風に、私たちは体験が大きければ大きいほど、重ければ重いほど、
受けとめることにも直視することにも、ためらいがあります。
生活や勉強や仕事や毎日の膨大な雑務に追われて、ともすれば、気持ちにちゃんと向き合ってあげる時間をとることは難しいかもしれません。
すると・・・そうですね、冷凍庫の奥に入れたまま食べていないものですとか、引っ越した時に段ボール箱にしまったまま開けていないモノたちのように、後回しにしたまま、時が過ぎてしまいます。
そんな宙ぶらりんな自分に罪悪感を感じたり、その間、イキイキとした感情を閉じて自制することだってあるのです。
確かに体験のまっただ中では、一番ツライ時期を乗り越えられるよう、
本能的に悲しみの箱を閉じておいたのかもしれません。
けれども、力がついたら、向き合うこともできるのです。
どんなツライ出来事も、その人にとって大切な人生の一部。
忘れるのではなく、大切な思い出にしていくために、
悲しみの箱に向き合う時がやってくるのかもしれませんね。
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★3月13日(水)19:30~21:30
いじめトークイベント。「いじめの構造」を一緒に考えませんか。
東京大学 駒場キャンパス 参加無料
詳細はこちら
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★ネット記事「あなたの隣にある、いじめ」【TRAPRO関連記事】
http://www.trapro.jp/articles/176/
★3月24日(日)15:30~18:30
心のブレーキをはずし、人生が輝く「トラウマ解凍ワーク」
http://mental-support.main.jp/work/trauma/