311東日本大震災からもうすぐ2年を迎えます。
発生後すぐから、Niftyで連載したシリーズ(12回)を転載します。
PTSDを全体的に知りたい方は、こちらをどうぞ。
スライドシェア「PTSDのしくみから快復法まで」約1500views
http://www.slideshare.net/eikomomose/ptsd-14361340
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前回、記憶を封じ込める心の防御作用についてお話しました。
今回は、それにどう向き合えばいいか、対処すればいいかを考えていきましょう。
一つの方法としては、「精神的な症状だと認識」することです。
たとえば今回の震災は3月11日に起きました。
すると、無意識に2月くらいから4月にかけてイライラしたり、落ち着かない気持ちになりやすいことでしょう。たとえ数年の時間が経ったりどこかへ移住したりと、本人すら忘れていたとしても、身体の方が季節感とともに症状を呼び覚ますことがあります。
するとつい、自分でもなぜイライラするのかわからず、
たまたま周囲にいる人や目の前のできごとに怒りをぶつけてしまいやすいのです。
そんなときは、原因探しをするのではなく、自分をいたわってあげてください。
「身体が心の痛みを覚えているためかもしれないな」と考えると、
スッと気持ちが和らいだり、冷静になりやすいでしょう。
自分を客観視して、意識するだけでも効果があります。
ある女性の場合、ときどき子どもを長く叱ってしまう自分に悩んでいました。
そこで叱った日をカレンダーにメモしてみると......ブルーデーの数日前に起きやすいことにハッと気づいたのです。
ブルーデイはイライラしやすいとは知っていても、
その数日前だと関連性に気づかなかったのですね。
しかしそれ以来、叱っている時に「体の周期が原因ではないか」と自問することで、
冷静になりやすくなりました。
そんな風に、精神的な症状によってイライラしやすい引き金(トリガーと呼びます)を刺激されるかもしれません。自分がどんなことでイライラしやすいかという"トリガーを認識する"だけでも、客観的に怒りをコントロールすることができます。
もう一つの方法としては、「感情の吐き出し」です。
たとえば日航機の墜落事故などでは、毎年、被害者の会が開かれてきました。
そこで思いを共有することが、悲しみを乗り越える寄りどころとなるんですね。
「ツライ」「苦しい」「思い出してしまう」といったリアルな感情は、
被災していない方にはなかなか伝わりにくいですし、
時間が経てば経つほど「まだ固執しているのか」と見られる不安も出てきます。
だからこそ、「言ってもいい場」が必要なのです。
「怖かった」「悲しかった」と言葉で表現する、喪失感を共有することで、
自分の感情を認めてあげることができます。
もしもツライことを「ツライ」と言えなければ、どうでしょうか?
それはきっと自分を痛めつけてしまいます。
大人だって、もし誰にも言えない秘密を墓場まで抱え続けて生きるとしたら、しんどいじゃないですか。誰かと分かち合う、受け止めてもらえることで、気持ちは軽くなりますよね。
特に子どもの場合、言ってもいいのかどうか、大人たちの顔を伺います。
どうぞ子どもたちが気持ちを表現することを禁じないで、受け止めてあげてください。
「怖かったね」「怖がっていいんだよ」と許可を与えましょう。
そして「もう大丈夫だよ」と安心を添えます。
その方が、心の奥にたまった恐怖感や不安が吐き出せてラクになりますし、快復が早まりますよ。
感情の吐き出し方は、どんな方法でもかまいません。
たとえば、絵を描くアートセラピーもいいでしょう。
たとえ真っ黒に紙を塗りつぶしたとしても、とがめないでくださいね。
それほど怖かったということを、吐き出してしまいたいのかもしれません。
また、言葉遊びやゲームのような形をとることもあります。
「津波だー」「逃げろー」といった津波遊びは、大人から見たら眉をひそめやすいものですが、口に出せるようになったということは、恐怖感が薄れて来ている証拠です。
モヤモヤした感情が吐き出せるようになったんだな、ガス抜きしているんだなと見てあげましょう。
心の底にある真っ黒な毒のような恐怖を、言葉や絵で表現して、胸の内から浄化したいんですね。
大人たちの場合も、できるだけ痛みを共有していきましょう。
共有するには、言葉にするといいでしょう。
ママが言葉少なくなってきたら、できるだけ話しかけてください。
女性は聞いてもらうだけでも安心感が増しやすいものです。
男性も、なんだか眠れない、津波を思い出してうなされるといった悩みがあれば、がまんしないでカミングアウトしてみませんか。
そんなの男らしくないなんて、気にしないでくださいね。
素直に泣ける大人も、ステキなものですよ。
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★3月13日(水)19:30~21:30
いじめトークイベントで「いじめの構造」をお話します。
東京大学 駒場キャンパス 参加無料
詳細はこちら
→https://www.facebook.com/photo.php?fbid=492139644180156
★ネット記事「あなたの隣にある、いじめ」【TRAPRO関連記事】
http://www.trapro.jp/articles/176/
★3月24日(日)15:30~18:30
心のブレーキをはずし、人生が輝く「トラウマ解凍ワーク」
http://mental-support.main.jp/work/trauma/
発生後すぐから、Niftyで連載したシリーズ(12回)を転載します。
PTSDを全体的に知りたい方は、こちらをどうぞ。
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http://www.slideshare.net/eikomomose/ptsd-14361340
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前回、記憶を封じ込める心の防御作用についてお話しました。
今回は、それにどう向き合えばいいか、対処すればいいかを考えていきましょう。
一つの方法としては、「精神的な症状だと認識」することです。
たとえば今回の震災は3月11日に起きました。
すると、無意識に2月くらいから4月にかけてイライラしたり、落ち着かない気持ちになりやすいことでしょう。たとえ数年の時間が経ったりどこかへ移住したりと、本人すら忘れていたとしても、身体の方が季節感とともに症状を呼び覚ますことがあります。
するとつい、自分でもなぜイライラするのかわからず、
たまたま周囲にいる人や目の前のできごとに怒りをぶつけてしまいやすいのです。
そんなときは、原因探しをするのではなく、自分をいたわってあげてください。
「身体が心の痛みを覚えているためかもしれないな」と考えると、
スッと気持ちが和らいだり、冷静になりやすいでしょう。
自分を客観視して、意識するだけでも効果があります。
ある女性の場合、ときどき子どもを長く叱ってしまう自分に悩んでいました。
そこで叱った日をカレンダーにメモしてみると......ブルーデーの数日前に起きやすいことにハッと気づいたのです。
ブルーデイはイライラしやすいとは知っていても、
その数日前だと関連性に気づかなかったのですね。
しかしそれ以来、叱っている時に「体の周期が原因ではないか」と自問することで、
冷静になりやすくなりました。
そんな風に、精神的な症状によってイライラしやすい引き金(トリガーと呼びます)を刺激されるかもしれません。自分がどんなことでイライラしやすいかという"トリガーを認識する"だけでも、客観的に怒りをコントロールすることができます。
もう一つの方法としては、「感情の吐き出し」です。
たとえば日航機の墜落事故などでは、毎年、被害者の会が開かれてきました。
そこで思いを共有することが、悲しみを乗り越える寄りどころとなるんですね。
「ツライ」「苦しい」「思い出してしまう」といったリアルな感情は、
被災していない方にはなかなか伝わりにくいですし、
時間が経てば経つほど「まだ固執しているのか」と見られる不安も出てきます。
だからこそ、「言ってもいい場」が必要なのです。
「怖かった」「悲しかった」と言葉で表現する、喪失感を共有することで、
自分の感情を認めてあげることができます。
もしもツライことを「ツライ」と言えなければ、どうでしょうか?
それはきっと自分を痛めつけてしまいます。
大人だって、もし誰にも言えない秘密を墓場まで抱え続けて生きるとしたら、しんどいじゃないですか。誰かと分かち合う、受け止めてもらえることで、気持ちは軽くなりますよね。
特に子どもの場合、言ってもいいのかどうか、大人たちの顔を伺います。
どうぞ子どもたちが気持ちを表現することを禁じないで、受け止めてあげてください。
「怖かったね」「怖がっていいんだよ」と許可を与えましょう。
そして「もう大丈夫だよ」と安心を添えます。
その方が、心の奥にたまった恐怖感や不安が吐き出せてラクになりますし、快復が早まりますよ。
感情の吐き出し方は、どんな方法でもかまいません。
たとえば、絵を描くアートセラピーもいいでしょう。
たとえ真っ黒に紙を塗りつぶしたとしても、とがめないでくださいね。
それほど怖かったということを、吐き出してしまいたいのかもしれません。
また、言葉遊びやゲームのような形をとることもあります。
「津波だー」「逃げろー」といった津波遊びは、大人から見たら眉をひそめやすいものですが、口に出せるようになったということは、恐怖感が薄れて来ている証拠です。
モヤモヤした感情が吐き出せるようになったんだな、ガス抜きしているんだなと見てあげましょう。
心の底にある真っ黒な毒のような恐怖を、言葉や絵で表現して、胸の内から浄化したいんですね。
大人たちの場合も、できるだけ痛みを共有していきましょう。
共有するには、言葉にするといいでしょう。
ママが言葉少なくなってきたら、できるだけ話しかけてください。
女性は聞いてもらうだけでも安心感が増しやすいものです。
男性も、なんだか眠れない、津波を思い出してうなされるといった悩みがあれば、がまんしないでカミングアウトしてみませんか。
そんなの男らしくないなんて、気にしないでくださいね。
素直に泣ける大人も、ステキなものですよ。
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★3月13日(水)19:30~21:30
いじめトークイベントで「いじめの構造」をお話します。
東京大学 駒場キャンパス 参加無料
詳細はこちら
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★ネット記事「あなたの隣にある、いじめ」【TRAPRO関連記事】
http://www.trapro.jp/articles/176/
★3月24日(日)15:30~18:30
心のブレーキをはずし、人生が輝く「トラウマ解凍ワーク」
http://mental-support.main.jp/work/trauma/