こんにちは

 
非常識精神科医です
 
 
患者さんの薬を徐々に減薬していた途中の話
 

 
 
突然、患者さんが聞いてきた
「私の薬を減らす理由は?」
 
え?
 
あなた自身が「減らして欲しい」と言ったんだが、「そんなことは言っていない」と怒り始めた
 
 
この減らして欲しい理由が面白い
かつて無理やり入院させられた話から始まり、何のために薬を飲んでいるのか分からないという
 
 
実際、明確な幻聴や妄想はない
ただ、物事の解釈が被害的で、とかく他人の責任にしたがる
 
これを連合弛緩や被害妄想いう精神科医もいるかもしれないが、一つ一つのエピソードは一応の筋が通っている
 
本人から「薬をゼロにできたら、これまでの間違った診断を否定できる」「症状がないのに薬を飲むのはおかしい」と減薬の申し出があった
 
いやいや、薬を飲んでいるから、症状が抑えられているんだけど…
 
そう説明しても、「減らして欲しい」と言うのだ
 
 
ここはやはり実験主義
 
私は本人の病状を自分の目で見たことがない
薬が効いていれば、減薬すると症状が明確になる
禁断症状が出ないように減薬を開始した
 
薬を調整する時には、大まかな説明もしていた
 
 
そこで突然「減らす理由を聞いていない」ときた
 
「インフォームドコンセントがなっていない」だの「これまでの先生達の診断を覆す根拠は?」とか言い始めた
 
「自分は病気ではないと思う」から始まり、「薬を減らして証明したい」のではなかったのか?
 
診察時に録音していると言い、自分で記録を残しているという
その割には、「減らして欲しいとは言っていない」など
 
その録音を再生しても良いけどね
 
 
 
結局は本人にとっては、そんなことはどうでもいいことなんだよね
コミュニケーションのあり方やパターンとして考えると、一つの仮説が立つ
 
これまで頭ごなしに否定されてきた本人
それに対抗する術は色々と持っている
 
しかし、本人の要望に沿って対応されると、どのようにしていいのか分からない
そうすると無茶を言って、相手と強引に対立するしかないんだろうね
 
相手と対立して文句を言う
その形でないと落ち着かない
逆にそのようにすることで、現実の問題を否認して、誰かの責任にしたいのだろう
 
そりゃ楽だよ
 
何かに対して怒り、文句を言うことさえしていればいいのだから
結局はそのポジションに安住している
 
自分の思うようにならないとき
明らかに強制されていれば、文句を言う権利はあるだろう
本人の意思は別として、安心安全の確保のために、家族が経済的に入院を強制している状況
 
家族は本人との連絡を絶っているので、ある意味家族のやりたい放題になっている
家族に直接文句が言えないから、病院が八つ当たりされるハメになるよね
 
家族の資産状況は分からないが、本人の話では、郷里に土地などの資産があるらしい
家族は「退院する場合、保証人にも経済的支援も打ち切る」という強行姿勢だが、残念ながら扶養義務は免除されない
資産があるため、「扶養する余裕がある」と判断されるだろう
 
この扶養義務
法律的には逃れることはとても難しいらしい
家庭裁判所での調整である程度の義務を負うことになるんだって
 
参考>
親族の扶養義務はどこまで?
 
 
病院としては、私としても、できるだけ穏便に本人の退院意思を叶えてあげたいのだが…
 
世の中、知らないというのは弱いんだ
家族の受け入れが悪いという理由で、退院できない患者さんも全国には多く存在するだろう
患者さんの中には「仕方ない」と諦めて、安全安心だが不自由な生活を選択する人もいる
 
H26年だったろうか
精神保健福祉法の改定のとき、「家族等」という話が強調されていたのを思い出した
この「家族等」というのは、扶養義務者のこと
 
全国的に件の患者さんのような例が問題になっていたのかも
第三者から見て、生活に余裕がある場合、法的に扶養義務を免れない
そんなことも、調べないと分からない
 
知っているのと知らないのでは大違いだ
 
さて、本人と家族とどのように交渉するか