こんにちは
非常識精神科医です
双極性障害の闘病日記
実に色々と調べておられて、参考になっている
その中で、【心の病気じゃない!】という記事を見つけた
心の病気
私は精神科医だが、この表現は嫌いだ
ズバリ、統合失調症しかり、双極性障害しかり、心や気持ちの問題ならば薬で治療すること自体がナンセンスに思えてならない
私の解釈は、「脳の機能バランスの崩れ」
変性疾患のように神経細胞の物理的変化は起こっていないが、機能レベルの変化や複雑に絡んだ相互作用の不調というものが存在するのではないかと思うのだ
心や気持ちの問題というのは、その人の環境や性格、これまでの人生、生活上の出来事に100%起因しているはず
逆に言えば、薬は効かないだろうし、究極的には本人の責任ということになる
統合失調症や双極性障害が本人の責任?
そんなはずはない
糖尿病や高血圧だって、生活習慣だけの問題ではないだろうし、本人の責任ではない
本人の責任ならば、「自分でなんとかしろ」って話になるだろう
心や気持ちの問題ならば、心身喪失や耗弱なんて考えなくてもいい
刑事裁判にも例外なく画一的な対応が可能で、複雑な審議は不要になる
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表面的には「心」や「精神」ではあるのだが、それは脳というハードウエアと精神というソフトウエア上での超複雑なアルゴリズムの産物
PCの不具合を想像して欲しい
不具合の原因は様々だと思う
操作や入力ミスから始まって、ソフトの不具合、ソフトの相互作用、ハードディスクの不具合、デバイスの不具合、配線の不具合、マザーボードの不具合などなど
心の病気という表現は「なんか具合が悪い」というレベルの話で、しかも「なんか変な操作をしたんでしょ?」っていう冷たい表現だと思う
操作や入力ミスは本人の責任だ
しかし、ソフトの不具合やハードの破損は本人の責任とは言えないだろう
保証期間での無償修理は持主の責任ではないことを示している
物であるPCでさえ、操作ミスや故意の破壊行為以外は持主本人の責任ではないということだ
脳の病気と言い切れるか?
これもまた、とても難しい問題だ
前述のように症状は同じように見えても原因が異なる場合もある
代謝の問題がほとんどない場合は、「脳の病気」と言えるのだが、質的栄養失調のようなものがあると、代謝が脳に影響を与えているわけで、「身体の病気」ということになる
本来、内因性精神疾患は「身体の問題がない」という前提がある
しかし、私の臨床経験では微細な身体的問題が脳に症状レベルの影響を与えることにしばしば遭遇している
代表格は鉄タンパク不足による「うつ」症状や機能性低血糖による糖質依存=過食症、その両方と思われる神経性食思不振症の無茶食い排泄型
精神科医が対応する患者さんの中には、質的栄養失調を含めると、身体の問題が主の患者さんも一定数存在する
過去記事>
もちろん、統合失調症や双極性障害に勝るとも劣らない重症度の死別反応があったりする
これも長期化すると、食事や睡眠に影響して、質的栄養失調を介して脳の機能不全になる
そうすると、純粋な意味で「心の問題」とは言いがたくなるのだ
死別反応では、身体や脳の治療をおこなっても、心理的な解決がなされないと改善しない
過去記事>
同じ症状でも原因や成因は様々
認知症にしても、うつ症状にしても、幻覚にしてもだ
表面的によく似た症状でも、原因や成因が異なることがあるのが、精神科の難しいところではある
とはいえ、やはり「心の病気」という表現には、私は違和感があるんだよね



