サイコオンコロジーとは,精神腫瘍学と訳されますが,簡単に言うと,がん患者さんや家族の方の心を診ることを言います。実際に,精神腫瘍科(腫瘍精神科)という診療科がある病院はまだほとんどありません。

がん患者さんや家族の心のケアは大事だとは誰もが言うのですが,具体的なことはあまり知られてはいません。ですからこのブログでは,がん患者さんとその家族のために大切なことを,記していくことにします。

まずサイコオンコロジーが扱う対象は二つの異なった側面があります。一つは,がんが心に与える影響で,二つ目は心やがんへの構え方が,がんに与える影響です。まずは、がんが心に与える影響について何回かに分けて説明していきましょう。

がんと告知されると一様にショックを受けます。けれども,人間はそれほど弱い生き物ではなく,なんとか自分自身で,あるいは,家族や友人の助けを借りて,ショックから立ち直ります。そして、結果的には情報を集めたり,医師に質問したり,セカンドオピニオンをとったりして,がんを受容して治療の段階に進みます。これらの行動を「適応的行動」といいます。時間的には個々の方で異なりますが,このようなアクションとるまでに1週間から数週間かかると言われています。

しかし,なかなかこの適応的な行動がとれずに,泣いていたり,引きこもっていたり,眠れなくなったりする場合を「適応障害」と言います。精神腫瘍医は,まず,この適応障害の患者さんの相談にのって,なんとか適応行動がとれるように,カウンセリングや問題解決法を一緒に考えるなどで援助します。