LIVE「令名の和歌 新宿 2020.12.29」 | PSYCHO村上の全然新しくなゐ話

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発売より時間が経過したアルバム、シングル、DVD、楽曲等にスポットを当て、当時のアーティストを取り巻く環境や、時代背景、今だから見えてくる当時の様子などを交え、作品を再検証。

令名の和歌 新宿Zirco Tokyo 2020.12.29

「光陰矢の如し」という諺あるように時が過ぎるのは早い。12月29日に新宿Zirco Tokyoで開催されたアイドル・イヴェントは、令名の和歌にとって2020年最後のライヴ出演となった。11月のワンマン・ライヴのステージ上で発表があったように、令名の和歌は2021年より「新章」に突入し、新衣装や新ヴィジュアルの公開、連続リリースなど、様々な企画が用意されている。

 

今回の公演は年内最後のライヴというだけで無く、現衣装で行う最後のパフォーマンスとなった。2月に秋葉原で行われた初のワンマン・ライヴで初お披露目され、「激情乱舞」「絆」のビデオ・クリップでも使用された現衣装は、メンバーもファンも思い入れが強いに違いない。2020年の「令名の和歌納め」であり「現衣装納め」と、ひとつの節目となるステージだ。

 

さて、この日のイヴェントは「たす・さやか合同生誕祭」。令名の和歌のマネージャーであり、G’ASHのメンバーでもある壱星デストロイたす氏と、同じく12月に誕生日を迎えたG’ASHのアジノモト・サヤカ氏の生誕記念イヴェントである。イヴェント自体は昼から行われており、令名の和歌が出演するのは19時10分から。しかし進行が10分程度押していたようで、19時10分には、ひとつ前のグループがライヴを行っている最中だった。

 

夜という事もあり、スタンディング・フロアは人と人の間隔を空けつつ満員状態。19時20分頃から令名の和歌のライヴがスタートした。バック・ステージで気合入れをするメンバーの声が聞こえ、お馴染みのSEが流れ始めた。神谷ちえみ氏、善家巳琴氏、松井唯氏、伊河こころ氏、葉月美羽氏、佐倉風夏氏と順に登場して定位置へ就く。

 

SEが終わると、メンバーが扇子を広げてスタンバイ。1曲目「掟」に流れ込んだ。とにかく「掟」はイントロから「炸裂する」という言葉が似合いそうな始まり方だ。メンバーも冒頭から激しいダンス・パフォーマンスを見せる。伊河氏を筆頭に各メンバーが観客を煽りまくり、熱い空気が場内に充満。爆発力のあるダンスと観客を煽るライヴ感が全面に出ているように見えるが、それと対比するかの如き精密なダンス・パフォーマンスの組み立て方も見逃せない。間奏における複雑なフォーメーションは圧巻である。

 

「掟」を歌い終え、メンバーが自己紹介とミニ・アルバム「天命」の告知などを行った。そして本日の主役である壱星氏とアジノモト氏に、お祝いの言葉が贈られた。壱星氏は令名の和歌のマネージャーである事を伊河氏が紹介。そこから「壱星デストロイたす」という名前の正しい発音についてトークが進んだ。神谷氏は壱星氏と見た目が似ているので「メンバーに楽屋で間違えられた事がある」というエピソードを披露している。

 

ここから楽曲に戻り、風夏氏が「この冬にぴったりのナンバーです!」と「雪枷」を紹介。曲がスタートした。雪や冬を連想させるような白い照明がステージを包み込み、メンバーの表現するパフォーマンスと共鳴して幻想的な空気が漂う。ゆったりとした曲調でありつつも、メンバーのダンスは非常に動きが精密だ。本曲では特に葉月氏と松井氏のヴォーカルが素晴らしい。両名共に表現者である事を再認識できる歌声だった。

 

考えてみると「雪枷」は11月のワンマン・ライヴで初披露されているので、現衣装で行うライヴとしては2ヶ月にも満たない僅かな期間だった事になる。来年からも「雪枷」は披露されるに違いないが、そこでは新衣装によるパフォーマンスとなるはず。よって、現衣装による「雪枷」が見られた2ヶ月弱のライヴは大変貴重な期間だったと言えそうだ。その「雪枷」に続くは「航海日誌」。

 

「航海日誌」は古くからファンにお馴染みのナンバーで、冒頭から熱い盛り上がりを見せる。2度目のワンマン・ライヴを経て、いよいよ新章へ。新たな未来を目前とした今の時期に披露された「航海日誌」は、リリース当時とは違った意味で歌詞の一語一語の重みが増していると言えまいか。ステージ中央で伊河氏がソロでダンスを披露する間奏は、もはや伝統芸と言えるほど馴染み深い光景となった。

 

2020年の締め括りは「輪廻転生」で、イントロの静かなパートが省かれてリズム・インする所から始まるヴァージョン、即ちシングル「激情乱舞」に収録されたオケで歌われている。2番の歌い出しで向かい合って歌う、善家氏と風夏氏の姿が力強く美しい。本公演は声出しが可能なので、間奏部分では観客がコールを入れている。全4曲を歌い終え、2020年を締め括るお礼を述べてメンバーは舞台を去った。

 

2021年は楽曲の連続リリースを筆頭に、アルバムの発表も決まっており、ライヴのメニューも大きな変化が予想される。「新章」は目前に迫っており、未来の扉は間もなく開かれる。令名の和歌が築いた偉大な歴史を超えるのは、令名の和歌自身なのである。

 

セット・リスト 新宿Zirco Tokyo 2020.12.29

 

SE

①掟

②雪枷

③航海日誌

④輪廻転生