2005年05月11日(水)

第22回 Electric Prunes

テーマ:無人島サイケ

この写真見たら、「チカーノ・バンド?」「南米サイケ?」と思われるかもしれませんが・・・。これは、映画「イージー・ライダー」の娼館のシーン(*1)で「キリエ・エレイソン」が印象的に使われていたエレクトリック・プルーンズです。

LA出身(シアトル出身という説は誤り)のバンドで、60sサイケ/ガレージのコンピでは必ずといっていいくらい取り上げられる"I Had Too Much to Dream Last Night"(邦題「今夜は眠れない」)は、60sサイケのテーマソングといえるほどの超有名曲です。

このバンドの特色としては、パンキッシュなガレージサウンドと、知的な繊細さやポップさがひとつのアルバム、ときには一曲の中に同居していることでしょうか。その特徴がわかりやすいのがデビュー作(1967)で、これは試行錯誤の結果というより、旺盛な実験精神によるものと捉えたいところです。(実際、ギターのエフェクトなどは当時の多くのバンドに影響を与えたようです。) パンキッシュな部分はPretty Thingsなどの英国のビート/ガレージバンドの影響が大で、これはストーンズのエンジニアだったデイヴ・ハッシンジャー*2)のプロデュースによるところも大きいのではないかと思います。

私が愛聴しているのは、よりサイケ色を強めたセカンドアルバム"Underground"(1967)で、シングルで結構なヒットを飛ばしたのに、タイトルどおりの「アンダーグラウンド」でダウナー志向なサイケアルバムを作ってしまったバンドの心意気(?)が泣かせます。特にキング=ゴフィン作の"I Happen to Love You"(オリジナルはThe Myddle Class)などは、ガレージっぽさと繊細さが同居したプルーンズならではの素晴らしいサイケチューンになってます。


アーティスト: The Electric Prunes
タイトル: Underground

「キリエ・エレイソン」が入ってるのはその次のMass in F Minor(1968)です。これは全曲、当時キャピトルのお抱えプロデューサー/アレンジャーだったDavid Axelrodの手による作品で、彼のお遊びというか実験につきあわされた感じで、制作にはほとんどメンバーの意思は反映されていないようです。「キリエ・エレイソン」は好きだし、教会音楽とサイケを融合させたコンセプトアルバムというアイディア自体は面白いのですが、アルバムを通して聴くと、最初の二作にあったプルーンズ独特の「冴え」のようなものは、ここではほとんど見られません。(余計なボーナストラックの2曲も「これプルーンズ?」という感じ。)

これに反して、一般のロックファンにもお勧めしたいのが、1997年に発売されたライブStockholm 67です。この時代のライブ作品としては音質・演奏ともに素晴らしく、JAの"Bless Its Pointed Little Head"にも匹敵するような内容だと思います。

ということで、その潜在能力とは裏腹に、アルバム作品に恵まれなかったバンドという印象があるのですが、なんと去年(2004年)、オリジナルメンバーによる新作アルバムが発表されました。

追記:
この他にElectric Prunes名義で、1968年に"Release of an Oath"と"Just Good Old Rock and Roll"というアルバムが発売されていますが、前者はアクセルロッドによる"Mass in F Minor"の続編的作品、後者は(オリジナルメンバー不在で)デイヴ・ハッシンジャーが勝手に作ったような作品みたいです。どちらも聴いてないので評価はできませんが、レコード会社(プロデューサー)の都合で作られたアルバムのようです。

*1
このあとマルディグラ~LSDトリップの場面へと続く。

*2
グレイトフル・デッドのデビュー作のプロデュースもこの人。
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2005年05月06日(金)

サイケデリック神秘学

テーマ:


この本が出版されたのは70年代前半ですが、カウンター・カルチャー関係の本として結構有名です。原題は「セックスとドラッグ──限界の彼方への旅」で、日本版の副題の「セックス・麻薬(ドラッグ)・オカルティズム」というのが、執筆されたときの元々のタイトルだったそうです。

ここでいう「オカルティズム」というのは、われわれが普通イメージするものよりも広い意味で語られていて、アレイスター・クロウリーからアメリカ・インディアンの儀式やフリーメーソンの秘蹟、さらにはキリスト教のようなメジャーな宗教やヨガ、禅などの習俗・教条まで、同等にドラッグおよびトリップという側面から論じられています。

著者のロバート・A・ウィルソン(1932年生まれ)は、「プレイボーイ」誌の編集者出身の小説家。ティモシー・リアリーらとシリウス星人とのコンタクトに関係したり、ノンフィクション(?)の「コスミック・トリガー」では、シリウス星とイリュミナティ(フリーメーソンのような秘密結社)をめぐるオカルト陰謀史観を描くなど、ポップ・オカルティズムの最前衛という感じです。

そういう観点から期待して本書を読むと、ひじょうに理に勝った「まとも」さに拍子抜けしてしまうかもしれません。テーマのひとつであるセックスに関しても、主にドラッグの催淫作用と60年代のセックス文化を考察した「まじめ」なもので、驚くようなユニークな話はほとんど出てきません。

しかし、(著者の意図がどうであれ、)この本の最大のウリといえるのは、詳細に記述された各種ドラッグの「効能」でしょう。「アッパー」「ダウナー」「アシッド」「スピード」、はたまた「メロー・イエロー」(バナナの皮を乾燥させたもの──その真偽に関する検証)まで、ロックミュージックを解読する上で役に立つ、ドラッグ(トリップ)に関する真実が満載されていて、とても参考になります。

この本も現在絶版(出版元のペヨトル工房は「解散」)なので、古本屋などで安く見かけたら、ぜひ・・・。
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