我が子の「発達の遅れ」が気になったのに子どもの父親はなぜ、「気のせい」というのか
我が子の発達の遅れが気になり始めたとき、母親が勇気を出して父親に相談しても、「気のせいじゃない?」「そのうちできるようになるよ」「考えすぎだよ」と返されて、深く傷つくことがあります。
毎日子どもの様子を見て、言葉の遅れや癇癪、こだわり、集団での困りごとに不安を感じているのに、一番近くで一緒に考えてほしい父親に軽く流されると、母親は孤独になります。
「私だけが心配しすぎなのかな」「相談しても無駄なのかな」と、自分の感じている違和感まで否定されたように感じることもあります。
では、なぜ父親は「気のせい」と言ってしまうのでしょうか。
ひとつには、子どもの発達の困りごとを日常の細かな場面で見ている時間が、母親より少ない場合があるからです。
朝の支度で切り替えられない、園から帰った後に癇癪が続く、同じ遊びに強くこだわる、寝る前に不安定になる、友達とのやり取りでつまずく。
こうした困りごとは、長い時間一緒にいる人ほど気づきやすいものです。
短い時間だけ関わる父親には、子どもの大変さが見えにくいことがあります。
また、父親自身が不安を認めるのが怖い場合もあります。
「発達の遅れかもしれない」と認めることは、子どもの将来への心配と向き合うことでもあります。
だからこそ、無意識に「大丈夫」「気にしすぎ」と言って、不安を遠ざけようとすることがあります。
これは母親を傷つけたいからではなく、父親自身がどう受け止めればよいか分からないために、防衛的な反応になっている場合があります。
さらに、「男の子は遅いもの」「自分も小さい頃そうだった」「そのうち追いつく」という経験則で判断してしまうこともあります。
もちろん、発達には個人差がありますし、成長とともに伸びる力もあります。
しかし、親が感じる違和感が続いているなら、「気のせい」で終わらせず、具体的に子どもの様子を整理することが大切です。
言葉が少ない、呼んでも振り向きにくい、指示が入りにくい、癇癪が長い、友達と遊びにくい、切り替えが極端に苦手などの姿は、子どもが困っているサインかもしれません。
父親に伝えるときは、「発達障害かもしれない」と結論から話すよりも、日常の具体的な場面を共有する方が伝わりやすくなります。
「昨日も着替えに40分かかった」「園で友達と関われず一人でいることが多いと言われた」「言葉で説明しても伝わらず、絵を見せると動けた」など、事実を落ち着いて伝えることが大切です。
そして、「私が不安だから決めつけたいのではなく、この子に合った関わり方を知りたい」と伝えると、父親も受け止めやすくなります。
必要であれば、保健センター、発達相談、小児科、園や学校の先生など、第三者の意見を一緒に聞くことも有効です。
新版K式発達検査やWISC-Ⅴ検査などを通して、子どもの得意と苦手を整理できる場合もあります。
検査や相談は、子どもにレッテルを貼るためのものではありません。
家庭での関わり方や園・学校での支援を考えるための手がかりです。
我が子の発達の遅れが気になったとき、父親に「気のせい」と言われても、母親の違和感が間違っているとは限りません。
毎日そばで見ている親の気づきは、とても大切な情報です。
大切なのは、夫婦で正しさを争うことではなく、子どもが今どこで困っているのかを一緒に見ることです。
「気のせい」で終わらせず、子どもの姿を具体的に確認し、必要な相談につなげることが、親子を守る第一歩になります。
発達障害ラボ
車重徳

