WISC-Ⅴ検査の基本検査であるワーキングメモリ指標(WMI)が低いと学校でどんな問題が起こるか?
ワーキングメモリ指標
(WMI: Working Memory Index)は、
WISC-V(Wechsler Intelligence Scale for Children - Fifth Edition)
の主要な指標の一つであり、
情報を一時的に保持し、
それを操作しながら
問題解決や思考を行う能力を評価します。
ワーキングメモリは、
短期的に情報を記憶し、
それを操作して
計算や理解に結びつける能力を反映しており、
学習や日常生活のさまざまな場面で
重要な役割を果たします。
ワーキングメモリ指標(WMI)が低い場合、
子どもは学校生活において
いくつかの困難を経験する可能性があります。
以下に、具体例を挙げて説明します。
①複数の指示を記憶して実行するのが難しい
ワーキングメモリが低い子どもは、
一度に複数の指示を記憶し、
それを順番に実行することが
難しい場合があります。
これは、授業中に教師から
複数の手順を含む指示が出された際や、
課題を進める際に特に問題となります。
具体例
例えば、教師が
「教科書を開いて、ページ10を読んで、
ノートに要点をまとめてください」
といった複数のステップを含む指示を出した場合、
ワーキングメモリ指標(WMI)が低い子どもは、
これらの手順を全て覚えられず、
どこから始めれば良いか
混乱してしまうことがあります。
結果として、指示を繰り返し確認する必要があったり、
間違った順序で作業を行ったりすることがあります。
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②読解や計算の処理速度が遅くなる
ワーキングメモリは、
読解や計算においても
重要な役割を果たします。
読解では、文章を読み進める間に
前に読んだ情報を記憶し、
全体の理解に結びつける必要があります。
また、計算では、数字や計算のステップを
頭の中で一時的に保持して
操作する必要があります。
具体例
算数の授業で、
2桁の掛け算や筆算のような複雑な計算を行う際、
ワーキングメモリ指標(WMI)が低い子どもは、
途中の計算結果を
頭の中で保持することが難しくなり、
計算ミスを犯しやすくなります。
また、国語の授業で
長い文章を読んで
内容を理解しようとすると、
前に読んだ部分の内容を忘れてしまい、
文章全体を理解するのに
時間がかかることがあります。
③メモリを使った学習が苦手
ワーキングメモリ指標(WMI)が低い子どもは、
リストや手順、事実の記憶といった
メモリを使った学習が苦手です。
これにより、暗記を必要とする科目や、
学習の流れを頭の中で
整理することが必要な場面で
困難を感じることが多いです。
具体例
社会科や理科の授業で、
歴史の年号や科学の公式を
暗記する必要がある場合、
ワーキングメモリ指標(WMI)が低い子どもは
これらを長期間覚えておくことが
難しいことがあります。
これにより、テストでの成績が低くなったり、
授業内容が理解できなかったりすることが増えます。
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④注意力の持続が難しい
ワーキングメモリが低い子どもは、
注意力を長時間持続させることが
難しいことがあります。
これは、授業中の集中力の維持や、
複数のタスクを順序立てて処理する際に
問題を引き起こすことがあります。
具体例
長時間の授業中に集中力が途切れやすく、
注意力が続かないため、
授業の後半になると
内容が頭に入らなくなることがあります。
また、複数のタスクをこなす際に、
一つのタスクに集中しすぎて
他のタスクを忘れてしまったり、
逆にタスクの間を行ったり来たりして
効率が悪くなることがあります。
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⑤論理的な思考や問題解決が難しい
ワーキングメモリは、
複雑な問題を解決する際に
必要な論理的な思考にも影響を与えます。
ワーキングメモリ指標(WMI)が低い子どもは、
問題解決のために必要な情報を頭の中で整理し、
適切な解決策を導き出すことが難しいことがあります。
具体例
算数の問題で、
「Aさんが持っているリンゴの数と、
Bさんが持っているリンゴの数の合計は?」
という問題が出たとき、
ワーキングメモリ指標(WMI)が低い子どもは、
AさんとBさんがそれぞれ
何個のリンゴを持っているかを
頭の中で保持しつつ、
合計を計算することが難しいことがあります。
このため、問題を解くのに
時間がかかったり、
間違った答えを出したりすることがあります。
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⑥ノートの整理や時間管理が苦手
ワーキングメモリが低い子どもは、
複数の情報を同時に扱うことが難しいため、
ノートを整理したり、
スケジュールを管理したりすることが苦手です。
これにより、宿題を忘れたり、
提出物を期限内に
仕上げられなかったりすることが
増える可能性があります。
具体例
授業中に板書をノートに取る際に、
何を書けば良いのかを
頭の中で整理するのが難しく、
重要な情報を見逃したり、
ノートが散らかったりすることがあります。
また、複数の宿題や課題が出されたときに、
それぞれの期限を
頭の中で管理するのが難しく、
提出期限を過ぎてしまうことが増えることがあります。
WISC-Ⅴ検査の基本検査であるワーキングメモリ指標(WMI)が低いと学校でどんな問題が起こるかについての結論
WISC-V(ウィスク5)検査で
ワーキングメモリ指標(WMI)が低い子どもは、
学校生活において
さまざまな困難を経験する可能性があります。
これには、複数の指示を
記憶して実行する難しさ、
読解や計算の処理速度の低下、
メモリを使った学習の苦手さ、
注意力の持続の難しさ、
論理的な思考や問題解決の困難、
そしてノート整理や
時間管理の苦手さが含まれます。
これらの困難に対しては、
教師や親が個別の支援を提供し、
子どもの学習を支えることが重要です。
たとえば、複数の指示を
小分けにして伝える、
視覚的な補助を使って
学習をサポートする、
時間管理のスキルを教える
などの方法があります。
これにより、子どもが学校生活で
成功を収めるためのサポートを
提供することができます。
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