社会人になってからの学び場といえば、起業するまでの紆余曲折になりましょうか。前に書いたような学生時代でしたから、いわゆる社会人に馴染めない辛い日々を過ごしたと思います。

今でいうならSDG’sになると思いますが、地球環境問題や地域問題をある程度学んでいたこともあり、自社の利潤を追求するために地球環境にとって不都合なモノを生産し、そうでないと給料がもらえない株式会社の一員にはなりたくないという認識をもっていました。

また、公務員や学校の先生は、息苦しそうで気が進まない。その前に試験に通らない。ということで就職したい先が見当たらない状況の中で選んだのが半官半民の団体(今でいうならNPO)です。

最初の就職先は、農村社会運動を普及する社団法人。普及活動といっていましたが、要は農業雑誌を買ってもらうために、農家集落を渡り歩く飛び込みセールス集団でした。叩き上げの哲学がベースにあり出版物の内容は良いものでしたが、働き方としてはブラックでした。昔の運動団体ならそんなものでしょう。

ここで悩みます。農薬を使わない農業をするべきだと、農業経験もない若者が、日々の労働に忙しい農民に向かって変革を迫れるか。そして、雨の日も雪の日もスーパーカブに乗って各地の集落を移動し、飛び込みセールスを繰り返す働き方、まるで聖書をもって寄付を集める宗教集団と置き薬の薬売りを足して2で割ったような働き方、これを一生続けられるのか。「なんで俺はここでこんなことをやってんだ」と、神社の陰(ほかに一人になれるところがなかった)で泣いたこともあったな。

そこで、もがきながら自分なりに編み出したのが、「フィールドワークの構え」で仕事をするということでした。飛び込みセールスではなく、フィールドワークをやっているのだと思えばいいと。農民の暮らしを聞き、集落の様子を観察する、という学生時代に学んだことを引っ張り出し、そのついでに本を売る。

すると、集落の中の人間関係が少し見えてきて、最初に誰を落せば、次々と本が売れるかがわかってくるのです。村の農業熱心なキーマンを探して、その人の話をヒアリングする、できれば本を買ってもらう。その後は、さもその村のことをよく知っているかのようにキーマンの話題を出して会話すると本が売れていくというムラ社会の法則を掴んだわけです。セールストークでいう第三者引用という方法ですね。

その結果、他の普及員(セールスマン)のほぼ2倍の契約が毎日取れるようになっていった。こうなるとどうするか。上司には、その日の契約数を少なめに報告して、翌日は街の図書館などに行って1日過ごした上で、前日の契約の残りを報告することになる。この時間の使い方はセールスマンの特権ですね。そんなこんなで、1年持たずに退職届を出すことに。