自民党総裁選の各候補の経済政策を聞いたり、著作などを見たりしている。
岸田さん、高市さんが同じく「分厚い中間層の復活」とか「分厚い中間層を増やす」という趣旨の発言している。
河野さん、野田さんはそのような発言は確認出来なかったが、打ち出している全体の政策から推察すると、おそらく聞かれれば「分厚い中間層の拡大が必要」と答えるだろう。
さて言葉で言うのは簡単なのだが、これがなかなか難しい。
人口ボーナス期であれば中間層を分厚くしていくのは簡単とは言わないまでも、自然な流れで分厚くなっていく。
人口オーナス期で、中間層を今より厚くするというのはなかなか容易なことではない。
端的に言うと何かを捨てて何かを得る(一部の層には不利になるが、一部の層には有利になるような)政策が必要だ。
中間層を厚くするのに、一番わかりやすい政策は税制を改正することだ。
例えば、高所得層の税率を高くして中間層、低所得者の税率を低くする。
これは中間層を厚くする効果はあると思うが、あまりやり過ぎると経済のダイナミズムを失うことになる。
そこを突き詰めていくと、低成長を良しとする社会主義的経済を目指すということになる。
EU各国なんかは、かなりこういう政策にシフトしている。
しかし、その場合は社会保障を維持する為に、将来的に最低でも消費税20%という世界になるだろう。
あと世代間格差のことにも触れておかなければならない。
実は日本は、ここ20年間中間層を維持しようとする政策をずっとやってきた。(間違った政策だったと考えているが)
正確に言うと、当時中間層だった人たちの既得権益を守る為に、派遣社員制度を拡大させ、結果として若年層のかなりの割合が派遣社員になった。
簡単に言うと、今の50代以上の層の雇用や賃金を守る為に、若年層が割りを食ったということだ。
本来なら20年前に、日本の雇用慣行を本質的見直し、世代に関係ない成果主義的雇用に変えていくべきだったのに、その当時の現役世代を守り、日本の終身雇用的雇用慣行を維持する為に、派遣の拡大というまやかしの政策を行なった。
中間層を分厚くして消費を促したいなら、50代以上の層から若年層に富が移るような政策が必要な訳だが、人口分布が若年層よりも50代以上のが多く、且つ選挙に行くのも50代以上のが圧倒的に多いので、民主主義国家である日本で、世代間の富の移転を促すような政策を決めるのは容易ではないだろう。
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