恐怖の肝試し

私が初めて幽霊を見たのは小学校五年生の時の肝試しでした。
こちらの肝試しは、夕方5時に公民館に集合して、一時間くらい怪談を聞いてから三人一組で、一番奥にあるコインを一枚取って戻るのがルールです。
片道約１キロの墓場道です。
私がこの肝試しに参加する事を母は嫌がりましたが、年子の姉が児童会長の手前参加せざるを得ませんでした。
作り物ではない本物の墓場の沈黙の恐怖に脅えながらどうにか奥に着いてコインを取った瞬間に、油断するなよ。
隠れていた先輩に脅かされて、同じグループの女の子が失禁して泣き出しました。
先輩やり過ぎですよ。
皆で先輩に文句を言っていました。
そうしたら、人数が1人多い事に気付きました。
そこには、7日前に交通事故で死んだ同級生が一緒に文句を言っていました。
私が最初に気付いて、孝がいるぞ。
全員が孝の幽霊を見ました。
失禁した女の子も泣き止んで全員でダッシュして帰りました。
公民館に帰ってきたら、私の母がいました。
孝の霊もついて来ました。僕も皆と遊びたいんだよ。孝治、昌昭、由香利、遊ぼうよ。
蒼い顔で近寄って来ました。
母が数珠を出して、呪文を唱えました。
すると孝は残念そうに墓場に戻って行きました。
やはり危険だったわね。
もうこの行事は止めましょう。
世話人も孝の霊を見ていたから同意しました。
人生初の幽霊が、親友とも言える孝とは思いませんでした。
肝試しはリスクが高いです。
霊は見せ物ではないし、取りつかれたら不幸が待っています。
怖いもの見たさで命を落とす場合もあります。
墓場での肝試しはしない事です。