地区長が巡回から帰ったあと、若田さんとじっくり話をした。

始めに

『地区長が前回仙台店に来た時に何を言ったの?』

と聞いてみた。

すると、

「藤川は会社の宝だからいろいろ応援してくれよ」

と言われたそうだ。

その時に店の状況を正直に話したとの事。


地区長も新しく就任した藤川の動向を気にかけてくれていたのだ。

「俺が来て出来ることがあったらやってあげたいけど、それじゃあ益々悪化してしまうかもしれないなぁ」

と、悩んでいる様子だったと、若田さんから聞いた。


地区長がいろいろと気にかけてくれていた事を知り、藤川は少し胸が熱くなった。

若田さんも地区長から様々細かく指示されたそうだ。

陰ながら努力をしてくれていたのでした。


また地区長は九州の近藤地区長にも藤川のフォローを頼んでくれていたのです。

ありがたいことだと心の中で感謝した。


若田さんの話を聞いて、いろいろと理解した藤川は益々みんなを一流の販売員に育てたいと思ったのだ。

そして、藤川はもう一度全員と個人ミーティングを行うことにした。


そこで、気分一新して頑張っていきたいとみんなと共有して深い絆を築きたかった。

そして、みんなも今までの言動を反省してくれた。


次に藤川はこれから販売技術はもとより商売人としての姿勢やあり方などを合宿をして教えていきたい事を話した。


みんな一瞬、えっという反応をしました。

その話を聞いて、前向きな返事が返って来た販売員を対象に実際に合宿することを始めることにした。

イジメをしていた販売員は家庭の事情で合宿は出来ないと話してきた。


しかし、今後仙台店の発展の為に頑張ると言ってくれた。

彼は店の雰囲気が変わったことや藤川の人間性も理解してきて、少しバツが悪そうなところがあった。


それは藤川も無理の無い事だと思った。

店長が21才、自分達は30才前後での上下関係。

藤川は自分だったらそこまで素直になれるかと思うと、みんなの人間性の方がはるかに高いと思った。


そんな気持ちを持ったみんなが、一流のセールスマンになって欲しいと思い、それが自分の使命だと決意した。

イジメから三か月

その頃、不思議にも店の売上は益々伸びていた。


そんな時、本社営業の担当者から電話があった。

最近どうしてまた売上が上がって来たのかと聞いてくるほどの店の状況になっていた。


その時、藤川は

『これからもっと売上は上がりますから、見ていて下さい』

と言うと営業担当者は

「本部長が聞いたら喜びますよ」

と言ってきました。

その営業担当者は全店から売上エピソードを書くため各店店長から話題などを聞いていた。


そして、また藤川の事が会社でエピソードとして話題となったマネージメントが始まる。