#4742 三菱 | プロパンガス

プロパンガス

いっしょうけんめい働いた人が
せめてビールぐらいは安心して
本物を飲める世の中をつくろう

何年か前。

 

多くの銀行で行われているように、僕の勤める銀行でも年に1度、世界各国の本店・支店で為替業務に携わる仲間が集まって、ミーティングを開催していた。

 

だいたい、2泊3日ぐらい。

 

ミーティングとは言っても、せいぜい9時から夕方は18時ぐらいまで。

 

中身も、遊び要素がけっこう強い。

 

数人ごとのチームに分かれて、新聞紙とセロハンテープだけ渡されて、高いタワーをつくる競争をしたりとか。

 

ビデオカメラを渡されて、短編映画を撮ったりとか。

 

本チャンが終わると、夕飯のパーティーから、明け方まで騒ぐ。

 

遊び要素というか、まあ、遊びだ。

 

目的は、コミュニケーションの確率。

 

為替をやってると、コンマ何秒の判断で、大金をつかんだり失ったりする。

 

大陸をまたいで意思疎通がスムーズにできるかどうかは、たぶん経験したことのない人には想像もつかないぐらい、重要なポイントになってくる。

 

ITだの英語力だのを越えて、互いの性格やクセなんかを理解し合えていることが、けっこう決め手になったりする。

 

もちろん、そんなことが物を言う局面はそうしょっちゅうあるわけではなく、何ヶ月に1回、何年に1回という頻度。

 

そうだったとしても、何億円かのこの馬鹿騒ぎのコストは、十分にペイする。

 

で。

 

ここからが本題。

 

その年は、このミーティングのホストが東京で、会場は舞浜のとあるホテルだった。

 

同室は、シンガポール人の同僚。

 

彼と部屋の中でどうということのない話をしていた時の、彼のひとことが忘れられない。

 

「Japan is a strong society」

 

正直、ピンと来なかった。

 

が、彼曰く、

 

「政治家が失言したりすると、それが何か実害につながったりしたわけでなくても、辞任させられたりする。不正がバレたような場合には、容赦なく責任を取らされる。そういったことが法の裁きや政権の裁量ではなく、国民世論によって方向づけられる。そんな国・社会は、アジアには他には1つもない」

 

Strong Society

 

強い社会、ではない。

 

社会が、強い。

 

時として、いや、しょっちゅう、やり過ぎもあるんだけど、とにかく不正を許さない社会。

 

これが、日本。

 

日本の、最後の砦なんだと思う。