ちょっと上から目線になるけどさ。
日本人が原発アレルギーになるのは、理解はできる。
理性的でも合理的でもないし、ましてや1ミリも科学的ではないけど、ある程度はしょうがないと想う。
核兵器を投下された世界唯一の国で人類史上2番目に大きな原発事故が起きたわけだから、そこに住む人々がヒステリックな反応をするのも已む無しだろう。
たぶん、これはどこ国でも民族でも、似たような反応をするんだろうと想う。
ドイツ人だろうがタイ人だろうが、きっと原発アレルギーになる。
そのアレルギー反応を起こしている人たちに向かって、原発が火力発電よりも命に優しいこととか、今回の被害の多くの部分が政府の対応の過ちに起因することとかをどんなに説いても、何の意味もない。
夫婦喧嘩に理屈を持ち込むのと同じぐらい、何の意味もない。
このアレルギーの存在を前提に原発を新設するなんてことはほぼ不可能だし、既存の炉も耐久年数を過ぎれば順次廃炉していくしかない。
その意味では、経済原則に従えば、別の言い方をするなら「ほうっておけば」、2030年代に原発ゼロに近い状態になる。
わざわざ閣議決定なんかしなくても、この国から原発はなくなる。
ただし。
問題は、そういうことじゃない。
原発をゼロにするとかしないとか、そんなことに政府が口出ししようということが間違っている。
原発がいいのか、LNG火力がいいのか、バカ太陽光がいいのか、あるいはそれらをどう組み合わせるのかなんてことは、政府が決めることではない。
市場に任せておけば、自然に最適解に行き着く。
政府の仕事は、もっと別のところにある。
電力の安定供給策を確保できない者には電力事業に参入させないとか、原発事故を起こしたら完全自腹で補償させるとか、そういうルールづくりをすることだ。
原発が良いとか悪いとか、そんな判断は政府がするべきではないし、そもそも政府にそれだけの判断能力は、ない。