#628 エロとか、チャイナとか | プロパンガス

プロパンガス

いっしょうけんめい働いた人が
せめてビールぐらいは安心して
本物を飲める世の中をつくろう

どんなにランキングを上げたくても、どんなに読者が望んだとしても、それに媚びるようなかたちでは、エロとチャイナは書かない。

とは言え、日々のプロパンガスの暮らしの中で、エロだろうがチャイナだろうが、心のフォーカスがそこにあたることがあれば、誰に遠慮することなく書かせてもらう。

で、チャイナ。

プロパンガスの主張は一貫していて、まるでマンションの住人が隣人に接するように、仲良しでもなければ険悪でもない、互いに決して理解しあえることのない相手の価値観を尊重した、赤の他人の関係でいるのが良い、そう考えている。

ただ、それは、あくまでも政府と政府(相手には政党組織から独立した政府機能は存在しないが)とか、大企業とか、そういう次元の話であって、たとえばチャイナの文化に惚れ込んでいる日本人は徹底的に中国四千年のインチキ歴史を楽しめばいい。

ましてや、スポーツと政治は別であるのは、わざわざ為替ディーラーごときがエラそうに語るまでもない。

アキさんの木曜日のコメント が岡本行夫の論文を引いてきているが、おいおい、どうかと想うぞ。

日本が政治的、経済的、軍事的にチャイナと渉りあっていくかについて語るのに、冒頭にスポーツの例を引用して読者を感傷的にさせてしまう手法、かなり良くない。

柔道もマラソンもサッカーも、アーチェリーもレスリングも野球も、日本の選手たちは、どんな罵声を浴びながらも、遊びやおしゃれや酒や恋愛に現を抜かそうと想えば抜かせた青春のすべてを賭けて打ち込んだその競技に、持てる力のすべてを注ぎ込んで欲しい。

(書きながら泣けてきた)

あなたがこの世に生を受けるよりもずっと前に、あなたの心がごく自然に抱いている平和を願う気持ちなどとは遥か無関係なところで、あなたとたまたま国籍・民族属性が同じだった先人たちが犯した罪を咎める声をその大陸の人々の口角から浴びたとしても、それでもあなたはあなたの信じる道をまっすぐに走ってください。

非難轟々の対象でしかない日の丸を背負って戦うあなたは、たとえば大韓民族の誇りを胸の内に秘めながら血のにじむほど唇を噛み締めながら日の丸を背負ってあの道を走ったランナーにも並び賞されるほどに威厳と尊厳に満ちた姿として語り継がれることでありましょう。

(かなり泣けてきた、のみすぎか?)

たとえば石原都知事のことは、支持するか否かと問われれば、圧倒的に支持しているというのに近いが、北京五輪ボイコットなどという論陣には大反対だ。

成熟した先進国に生まれ育った者の志の高さを世界に、そしてあの大陸の人々に訴えるまたとないチャンスではないか。

想像もしてみよう。

2008年9月某日、五輪閉会式前日、鍛え抜かれた筋肉の躍動を魅せる少女たちが42.195キロの道程に挑む。

先頭集団は事前の予想通り、ラドクリフ、ヌデレバ、オカヨを含む10名弱を孫英傑がリードする。

心なしか肩をすくめがちな日本代表の3選手、すなわち高橋、野口、渋井には、沿道から心無い、尽きることのない「小日本」、「鬼子」という罵声が浴びせかけられる。

高橋ばかりは言葉の響きが理解できないことをいいことに、むしろそれを彼女自身に対する声援でもあるかのように受け止め、なかば笑顔めいた表情で走っている。

(30キロほど略)

実況のアナウンサーは、絶えることのない沿道の罵声に負けじと声を限りに実況中継を続ける。

「さあ、ふたり、たがいに一完歩をも譲らないまま最後のトラックへと入ってまいりました。これほど苦しげな渋井の表情は見たことがありません。これほど楽しげな高橋の表情とて、誰も見たことがありません。ふたりが走ってきた道のりは、けしてこの日限りの42.195キロではなく、日本という国がこの大陸の東海上に存在するのだということをひたむきに訴え続けてきた1億2千万の叫びであります。さあ、ゴールの白いテープはすぐそこであります。負けるな渋井、がんばれ高橋。たとえどれほどの罵声を浴びたとしても、あなたに14億の人々が襲い掛かるとしても、小さくてもキラリと光る国の1億2千万は、あなたの人生すべてを賭けた頑張りがこの日この場所で花開くことを心の底より信じております。さあ、ゴールまであと1周、わずか400メート、高橋・渋谷、まさに併走であります。つい先ほどまで孫英傑の名を叫び、日の丸を背負う2人にあらん限りの汚い言葉を浴びせていたいたスタンドの観客たちの声も、いつしか泣き叫ぶような応援の声に変わっております。加油、加油!日本小姑娘加油!日本の乙女たちの胸に秘めた想いが、この大陸の人々にも通じたのでありましょうか。まさにトラックとスタジアム一体であります。さあ、ゴールまであと50メートル、高橋か、渋谷か、さあーーーー!」

ちょっと調子に乗りすぎたかな。

スポーツは、逃げなくていい。

この国が60年で身に着けた、懐の深さを見せつけてやれ。