この論文では,LKに comprehension axiom ∃y∀x(x∈y≡F(x)) を付加した形式的体系(但しここで F(x) には¬は現れない.このことを以下単に「制限された」と表現する)で次の結果の成り立つことが示されている:
⑴ この形式的体系で cut-elimination theorem が成り立つ.
⑵ 公理系 T,¬⊥,∃y∀x(x∈y≡F(x)) は LK上で無矛盾性である(ここに T,⊥ はpropositional constantで,内容的には前者は真な命題,後者は偽な命題を表わす).
まず⑴については,その証明の方法は基本的にGentzenによるPeano算術の無矛盾性の証明に準ずる.粗くいえばindの部分を除き,そして証明図の終結部にあるsuitable cutのreductionにおいて制限された comprehension axiom(正確にはそれと同等な推論図)の場合を付け加えて考えればよい[と思う].
次に⑵だが,これも大まかにいえば LK上 で無矛盾な公理系に制限された comprehension axiom を付加したものもまた無矛盾ということ[だろう].
ここで個人的に疑問(=調べたいこと)なのは,
・この結果の comprehension axiom において F(x) の( ¬ についての)制限がどれだけ本質的なものか,という点.つまり仮にこの制限を除いたら,この論文の証明のどの過程でどのような問題が起こるのか?
・comprehension axiom において F(x)の ¬ についての制限の他に,どのような制限を課せば同様の結果が保たれるか? 等々
まあ…時間が有り余っている時にでも調べよう.