日本在宅薬学会のメンバーに会って
活力みなぎる
あらいぐまです!!
今回は、日本在宅薬学会の若手会(笑)で
ちょっと議論になった製剤についてのお話です。
まず、アクセス数を稼ぐ為に
前回の製剤学記事のリンク→☆
割とメジャーなマクロゴール6000のお話でしたが、
今回も添加物にまつわるお話です。
マイナーなやつですよ。
マイナーとは言っても、
かなりの数の薬剤に使用されている添加物です。
そいつの名は・・・
結晶セルロース!
はいっ!!
この結晶セルロースは以下の特徴をもっています。
線維植物から得られたα‐セルロースを酸で
部分的に解重合して精製したもの。
白色の粉末状で、水に溶けない。
味はなく、化学的に不活性であることから
薬物と混合した場合にも変化がない。
また、打錠機で圧縮すると、
粒子が絡み合い容易に成型できる。
水分により容易に崩壊し、流動性が良い。
上記の特徴から錠剤の結合剤、崩壊剤として
優れた機能を発揮する。
いやぁ~
この説明を見た限りでは万能添加物ですね!!
しかし、
今回こやつの特徴が悪い方に作用してしまいました。
日本在宅薬学会若手会のメッセージグループに
一包化したセイブル錠の11包中8包が
さらっさらに崩壊した事例に出会いました!
との投稿が・・・。
写真を見た時の日本在宅薬学会若手会メンバーの意見
・なんかの下敷きなってない?
・時間経過考えても自然に崩壊とは考えにくい
・湿度高いって言っても部屋の中まで高いとは考えにくい
などなど
まぁ、そうなりますわな・・・
私も最初、
潰しちゃったんじゃないかなぁと思っていました。
しかし、
11包中の8包
意図的にそんなことしないだろうと思い、
セイブルの発売元、三和化学研究所に電話で質問
『すいません
一包化したセイブルが袋の中で
さらっさらに崩壊してたんですけど
何か思いつく原因ありますか?』
お客様相談室の担当者は即答してくれました!
セイブルは湿気に弱い薬です。
これは原薬であるミグリトールが原因です。
また成型の為に使用している結晶セルロースも
水分を吸収することにより膨張し、
粒子の絡み合いが解ける原因と考えられます。
データとしては、
湿度80%以上(厳密には84%の条件下)で
崩壊するというものがあります。
ですので、添付文書に記載された保管方法で保管してください。
ふむふむ
これが答えじゃないですか!
そして即答するということはセイブルあるあるだったんだ!!
一発で分かって、良かった良かった。
みんな~
分かったよ!
湿気が原因だよっ!!
しか~し、
これで納得しきれないという意見も・・・。
部屋の湿度80%って超える?
超えてたとして、そんな部屋で生活できる??
いやぁ~
流石、若手会メンバー
簡単には終わらせてくれません(笑)
もう、こうなったらトコトン調べちゃる!
まず、この事例が起きた期間の気象情報を調べました。
一包化した日から11日間において
湿度が80%を超えた日が7日間
最も湿度の高かった日で95%、最高気温24度
おっ!
気象情報から見るに崩壊する条件そろってるじゃない
いや、待てよ
室内の湿度ではないな・・・。
患者宅の様子を確認しました。
『自宅の横が川でエアコンはなく、
窓は開けっ放しです。』
ふむふむ
これは、ほぼ気象条件と同じ条件が
家の中でも起きていると考えていいのではなかろうか!?
『そんな湿度が高い部屋で生活は難しいのでは?』
この言葉が引っ掛かり
本当に生活出来る環境だったかを確認することに
ここで使う指標は不快指数
一番苛酷であったであろう
湿度95% 最高気温24度の条件での
不快指数 74.7
これは『暑い』と感じる程度
まぁ、ジトジトするかもですが
普通に生活出来るレベルでしょう
ちなみにエアコンをつけたくなるのは
不快指数77~80以上ぐらいだそうです。
いやぁ~
薬と関係ない知識も使うことになりましたが、
以上により、今回の事例は湿度が原因だと思います。
あくまでも個人的な推論ですが・・・。
今回は、
結晶セルロース、ミグリトール
ちゃんと薬の性質を知らないといけませんね!!
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