二極論にしないことが大切と考えている
あらいぐまです!!
さて、今回は日本在宅薬学会のバイタルサイン講習会に
参加したことがある人必見のネタです。
そして、薬物治療に携わる薬剤師は
当然、知っていでなければいけないであろうネタです!!
では、いきます。
まず、
酸化マグネシウムがどのようにして
緩下効果を発揮するか見てみましょう。
酸化マグネシウムは胃内で
MgO+2HCl → MgCl2+H2O
次いで腸内で
MgCl2+2NaHCO3 → Mg(HCO3)2 + 2NaCl
という反応が起きます。
そして、
Mg(HCO3)2が腸管内への水分滲出を誘導し
緩下効果が現れます。
はい注目っ!(金八先生になりきって)
酸化マグネシウムはHCl(胃酸)と結びつくことによって
反応が進んでいきます。
もし胃酸分泌抑制剤を服用していたら
酸化マグネシウムの効果が期待出来ない可能性が高いですね
安易に下剤を追加するのではなく
問題なければ、胃酸分泌抑制薬を中止すれば良い
という判断に辿りつきます。
ここまでは、
日本在宅薬学会のバイタルサイン講習会参加者や
作用機序の勉強をしっかりしている方ならば分かり切ったことです。
でも、本当に胃酸分泌抑制剤をやめれば良いのか?
という疑問を持ってしまった、あらいぐま・・・。
胃酸のメカニズムを学生時代使用していた参考書で調べ
PPIを販売している会社と酸化マグネシウムを販売している会社に
色々質問をぶつけてみました。
では、まず胃酸についてです。
胃内のpHは、常に一定というわけではなく、
食事や時間によって酸性度が変化します。
食前の空腹時にはpH1~1.5となり非常に強い酸性度を示します。
食事を摂るとpHは4~5になりますが、次第にpHは低くなり、
食後2~3時間でまた空腹時程度のpHに戻ります。
次いで、胃酸分泌抑制剤や制酸剤の特徴です
H2ブロッカーやPPIは、胃酸の分泌を抑えて、
空腹時の胃内のpHを5~6くらいまで高めます。
制酸薬は、それ自体がアルカリ性であり胃酸を中和するので、
服薬するとすぐpHを高めますが、効果は長続きしません。
一応、酸性とアルカリ性についておさらいをしときます。
pH3.0未満 酸性
pH3.0以上6.0未満 弱酸性
pH6.0以上8.0以下 中性
pH8.0を超えて11.0以下 弱アルカリ性
pH11.0を超えるもの アルカリ性
え~
ここまでの基礎知識を踏まえて
じゃあ、
酸化マグネシウムと胃酸分泌抑制剤を
服用するとどうなるか考えていきたいと思います。
酸化マグネシウムですが、
in vitro試験において
pH4.5において溶解度はpH1.2におけるそれに比べて
非常に低かったというデータがあります。
つまり、
胃酸分泌抑制剤を併用すると、
効果が減弱することが、容易に分かるかと思います。
胃酸分泌抑制剤の中でも
PPIにおいての話になりますが、
定期的に服用している方ですと、
24時間中pH3あるいはpH4以上を示す時間の割合が
70~80%ぐらいになります。
単純に20~30%の時間帯でpH3以下になっていることになります。
ですので、
このタイミングで酸化マグネシウムを服用すれば
期待する下剤効果が現れるはずです。
っが、しかし
いつ胃内pHが3以下になっているか
都度都度測定することは不可能です。
よって、酸化マグネシウムの効果を
100%発揮させたいのであれば
併用は避けるべきだと思います。
ちなみに、
独立行政法人労働者健康福祉機構中国労災病院薬剤部が
酸化マグネシウムと胃酸分泌抑制薬との相互作用についての
論文を発表されています。
この中では、酸化マグネシウムを1.2倍量にすれば
同等の下剤効果が得られる様な書き方でした。
こちらは吉田製薬株式会社から頂戴することが出来るので、
ご興味があれば資料請求してみてください。
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