先日、高校の同窓会幹事会に参加した際、
同じ薬剤師を仕事としている後輩に
『普段の姿を見ると、ふざけた人だけれども
ちらっとブログ読んでみると、真面目ですね』
と言われた
在宅医療が大好き、あらいぐまです。
真面目か不真面目か
そう言われると・・・。
好きなもの、興味のあるものについては、
真面目
そうではないもの、自分の価値観でどうでもいいものについては
不真面目
なんだと思います。
今回のお話は、在宅医療についてなんで真面目な内容
伝え方については不真面目となっております。
では、始まり始まりぃ~
『お薬は薬剤師が選ぶ!!』
著 池井戸衣良(笑)
分かる人だけ分かってくれればいいんです
そして、ファンの方怒らないでください。
主な登場人物
あらいぐま:薬剤師(主人公)
薬剤師歴7年のベテラン?
社会に出ると同時に在宅医療に触れ
これは流行ると確信した、お調子者
加原:医師
普段はクリニックで内科診療を行っている。
在宅医療は2年前から始め、薬剤師を含む共同薬物治療に
理解がある物腰が柔らかいお医者さん
月に2回、訪問診療を行っている
専門は循環器
柳沢:ケアワーカー
グループホームで働く心配性なケアワーカー
山田:施設入居者
明るく元気なおばあちゃん
認知症を患っていて介護度は要介護3
最近、飲み込みが悪くなっている
初めましての人もいるだろうから
まずは自己紹介
名前は、あらいぐま
保険調剤薬局で働く薬剤師
薬剤師って言っても薬局の中で
薬の説明をしているわけじゃない。
医師や患者さんの求めに応じて、
患家を訪問して服薬指導を行っている。
最近、普及してきたから知っている人もいるかと思うけど
いわゆる、在宅医療だ
今回は、薬剤師の職能を発揮できた時の話をひとつ
興味を持ったら最後まで付き合って欲しい・・・。
とあるグループホーム
十数名のおじいちゃんとおばあちゃんが共同生活を送っていた・・・。
定期的に訪問している、この施設で事件は起きた
加原先生が普段と変わらず元気な山田さんを診察をしていると
ケアワーカーの柳沢さんが神妙な面持ちで訴えてきた
『先生っ!山田さん、最近飲み込みが悪くなってきてて・・・。
実はパーキンソン病の薬がちゃんと飲めてないんですよ。
飲まないといけない薬だと思うんで、何かいい方法ないですか』
パーキンソン病の薬・・・
それはネオドパストンだった。
薬の飲ませ方の質問に加原先生は困り顔だ
『う~ん・・・。難しですね。
薬局さんに頼んで潰してもらうぐらいしか思いつかないですね』
『そんな・・・。
粉になると余計飲めないかもしれないです。
口に溜め込んでしまうので・・・。』
柳沢さんは、満足いく答えではなかったので否定的な発言をした。
こういったケースは良くあることで、
医師も薬剤師もその度に頭を悩ますことになる。
良い方法を見つけるまで、
同じ質問を繰り返しそうな柳沢さんを横目に
とりあえず情報提供だけしておくことにした。
『粉砕しないことになりそうですが一応、情報として・・・
今服用している薬はネオドパストンなので
粉砕することは可能です』
粉砕しないのだから必要ない情報かと思ったが、
沈黙している時間が耐えられなかった。
加原先生は悩んだ末、
『粉砕してもらって粉で飲むのをチャレンジしてみたいですが、
飲めないのであれば錠剤のままでもらうしかないですね』
加原先生の判断を聞いた柳沢さんは押し黙ってしまった。
『・・・。』
解決策が見つからず静寂に包まれる中
あらいぐまは以前勤めていた
薬局での出来事を思い出していた。
そう・・・
神経内科を専門とする医師が拒薬が激しい
パーキンソン病患者さんに試した薬のことを・・・
確か事例集として記録を残したはず
スマートフォンに書き留めていた在宅医療事例集を確認した。
そこにはパーキンソン病の貼付剤
ニュープロパッチ
と書かれていた。
直ぐ様、添付文書を開き使用方法を確認した。
これならイケるっ!
そう確信した!!
加原先生ならば薬剤師の話を聞いてくれるはず
『言うだけ言ってみよう』
意を決して言葉を発した
『先生っ!最近、パーキンソン病治療薬で
貼付剤が出たんですよ。
ドパミンアゴニストなので、ネオドパストンとは
作用機序が異なりますが、飲み込み悪いのであれば、
試してみても良いと思いますよ』
その報告にイの一番に反応した柳沢さん
『貼り薬であれば、スタッフが貼るので問題ないです。』
それを聞いた加原先生は安堵の表情と
驚いた表情が入り乱れた状態で
『パーキンソン病の薬に貼付剤が出たんですか?
知らなかったです。じゃあ、それにしてみましょう。』
と薬剤変更を快諾
『いや~自分の専門に関わる新薬は勉強するんですけど、
専門外はなかなか・・・。いい情報ありがとうございます』
加原先生からの感謝の言葉に心の中でドヤ顔をキメた。
心の中のドヤ顔を表に出さないように
ニュープロパッチの説明をした。
『ニュープロパッチという薬なんですけど4.5mgから初めて、
状態に合わせて増量していくお薬なんで、
とりあえず4.5mgを処方してください。』
元々、物腰柔らかく腰の低い加原先生は、
さらに腰を低くして
『分かりました。今後も専門外で困ったときは、
色々情報提供お願いします』
これは薬剤師冥利に尽きる、お礼の言葉だった。
普段、疑義照会しても
ろくに話を聞いてくれない医師がまだまだ多い
しかし、チーム医療・・・
共同薬物治療においては、
各々の専門分野における発言が治療方針に反映される
薬剤師が薬剤師としての仕事をやっていると感じられる
最高の場だ
在宅医療や入院患者治療だけでなく
外来診療においてもチーム医療が実施されることを切に願う
そうそう、ニュープロパッチを貼付することになった
山田さんだけど、その後、4.5mgから9mgまで
増量してパーキンソン病症状をコントロールすることに成功した。
選択した薬剤が症状に合ってて良かった。
医師は診断のプロであって薬のプロではない
今回は、剤形変更だったが
薬のプロである薬剤師が薬理作用、薬物動態を考えて
処方提案しても良いのではないだろうか・・・
あとがき
今回は、大好きな小説家の池井戸潤さんと石田衣良さん風の
小説仕立てで書いてみました。
二人はリアルとフィクションをバランス良く融合することが
とても上手な方達だと思います。
小説家になろうと思ったことはないですが、
最近、池井戸潤さんの小説を元にしたドラマが
立て続けにやっていたので、小説バージョンにしてみました。
結果、池井戸潤さん要素はあまりなく
石田衣良さんのIWGPに寄ってた気がします・・・。
全然違う!と思ったファンの方、本当にすみません。
さぁ如何だったでしょうか?
あとがきで小説家の話ばかり書いたので、
何々?小説の話?
みたいになってますが、
伝えたいのは薬剤師は、
もっと前に出て薬物治療に貢献しようってことです。
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