メッテルニヒ追放⑨~ウィーンっ子と皇室Part1~ | Salon.de.Yからの贈りもの〜大事な事は全てお姫様達が教えてくれた。毎日を豊かに生きるコツ

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元ワイン講師であり歴史家。テーブルデコレーションを習いに行った筈が、フランス貴族に伝わる伝統の作法を習う事になったのを機に、お姫様目線で歴史を考察し、現代女性の生きるヒントを綴ったブログ。また宝石や精神性を高め人生の波に乗る生き方を提唱しています。

ラノベ「双頭の鷲―ハプスブルク家物語―」

メッテルニヒ追放⑨~ウィーンっ子と皇室Part1

 

 

さぁ、メッテルヒニが去った帝都に平和が戻ったのかと言うと…

 

勝利を得た市民は狂喜乱舞した。

 

しかし、興奮した市民達によって郊外では騒乱が起こり、警官や政府は、暴徒化した市民が何をしでかすか予想が着かなくなっていた。

 

まさか、王宮に暴徒が入ってくるのではないか?と、王宮側も警戒する。

 

この事態に怒ったのは貴族達だ。

 

「貴族が市民に屈するなんぞ許せね〜‼︎」

 

この屈辱に怒った貴族達は巻き返しを図ろうと、メッテルニヒの後任として軍総司令官のヴィンディッシュ・グレーツを擁立し、治安回復に当てる事にした。

 

暴力には暴力で制しようと言うのか?


ウィーンの街は混乱した。

軍隊が出動するとはやぶさかではない。

 

一刻も早くウィーンの街に日常を取り戻せねば‼︎

そう、あの平穏な日常を。


この騒動を受けて、ウィーン市長は市民の興奮を鎮静させる為に、皇帝一家が市民の前に姿を見せるのが最適であると助言をする。

 

宮廷で一番政治能力に長けたゾフィー大公妃も、フェルディナント帝と夫フランツ・カール大公の尻を叩く。

 

「そうよ、貴方たち二人が馬車で市内を一巡しなさいよ」とゾフィー

 

「ええーっ、そんなぁ。もし何かあったらどうすんのさ」とフランツ・カールは口を尖らせながら尻込みをする。

 

「やだよぉ、怖いよぉ、怖いよぉ~。無理、無理、絶対に無理ですぅ~」言わずものがな、弱気なのはフェルディナントだ。

 

生贄にされる仔羊の様に震え上がっている2人に剛を煮やしたゾフィーは


「ええい、分かった。こうしましょう!皇妃マリア・アンナと息子のフランツ・ヨーゼフも着けましょう。いくらなんでも女子供がいれば市民も手を出さないでしょう」

 

「分かりました、母上。私も同乗しましょう」と凛々しくもフランツ・ヨーゼフは応える。


「ええ、私も行きますわ」健気な皇妃も賛成する。

 

つづく