ラノベ「双頭の鷲―ハプスブルク家物語―」
メッテルニヒ追放⑦~メッテルニヒ退陣~
(うん、そうしよう…)
シーンと静まりかえった空気の中で、出席者一同、事務的に頭の中で繰り返す。
………
「え“え”-っ」
ハプスブルク・政府サイドは慌てる。
(そうしよう、って。そうしよう、って…。一体、その後どうするのさっ!! byハプスブルク・内閣)
(フェルディナント君……おつむが弱いと思っていたが、そこまで馬鹿だったとは…byメッテルニヒ)
フェルディナントは事務的に答えただけに過ぎなかったのだが、彼の一言で宮廷側の人々はパニックで思考が停止する。
…と、その隙に、である
「あっ、ちょ…ちょっと…」
大公の1人が慌てて止め様とするが、時遅しである。
市民代表は王宮のバルコニーに出て叫んだ
「メッテルニヒが辞任したぞ!」
王宮の周りや広場に集まっていた群衆から「万歳!」の声が響く。
こうして、長きに亘るメッテルニヒの統治はあっけなく幕を降ろしたのである。
つづく