海のないオーストリアでは、淡水魚も食する事も多く、ナマズや鯉などを頂く習慣は、日本の食文化と少し似ていますね。
勿論、現代は流通機構が良いですから海のお魚も豊富に新鮮な状態で食されていますが、中世の頃は、王家の食卓に届くまでに傷んでしまう事もあった様です
チロル公であるフェルディナント大公の奥さんフィリッピーネさんは、アウグスブルクの豪商ヴェルザー商会のお嬢さん。
夏の保養にやってきたフェルディナント大公が、ヴェルザー商会の窓からハプスブルク家の行列を眺めていたフィリッピーネさんに一目惚れして結ばれたと言う、ロマンティックなカップルです。
フィリッピーネさんは料理も得意で、愛する大公の為に健康に良い美味しいお料理を毎日作っていたのですが、二人の好物が牡蠣。
しかも生で食べるのが大好きだったのですが、当時は、チロルの山奥に牡蠣を届ける迄に、牡蠣は傷んでしまって、二人は牡蠣を食べると、体調を悪くすることが多かったのだとか
アイスクリームの歌ではないけれど、昔は王子様でも新鮮な海の幸は食べられなかったんですね。
さて、土地柄お魚よりお肉料理が多いオーストリアですが、ここ日本のオーストリア、レストラン銀座ハプスブルクさんのスペシャリテは何といってもお魚料理だと、私は思います
シェフの作るお魚料理は本当に最高で、私は和食店以外では、余所でお魚は絶対に食べない程。逆にここに来たら、絶対にお魚料理は絶対に外せません!!
さて、前回、太刀魚のシュトゥリューデルを頂いたので、今回のお魚料理は、もう1つのコースの「クネル」になるのですが、残念ながらクネルの気分では無かったんです。
因みに、クネルとは、お魚のすり身を茹でたり蒸したもので、洋風はんぺんと言うかしんじょう、みたいなもの。
美容の為には、夜はお魚の方が良いのですが、今日はお肉かな・・・・と席につくと、ナント!!「シェフのおまかせ」で言いですか?との嬉しいご提案じゃあ~りませんか!!
Yes! Yes!! Yes!!!
最高のお魚づくしでした
何といっても、生の真魚鰹(まながつお)がホント美味しかったし、メインの肉厚のホタテにも、ガッツリ胃袋を掴まれました
今回はメニューを印刷して頂いたので、お料理名と共にご紹介していきます。
順を追って、アミューズからご紹介したいのですが、ここでお詫びです。
実は、アミューズと前菜の写真を撮り忘れたの~(泣)
いつもサーヴィスの方が丁寧に説明して下さっても、ブログに書く頃には詳細を忘れてしまう為、今回は先にメモを取って頂いたのですが、返ってそれが仇となってしまったみたい
いつもと違う事をするものではありませんね。
スープを途中まで頂いて、写真を撮り忘れていた事に気づきました。ゴメンナサイm(_ _)m
非常に残念ですが、取敢えず、説明だけ表記します。
アミューズはサワークリームの冷たいスープとスペイン産の鴨の燻製とレッチェ。
冷製スープは、少しレモンも加わって、蒸し暑い東京の夏には嬉しい一品。
丁寧に作られたブイヨンに支えられて、爽やかながらに旨味のあるスープ。
少し味がしっかり目。
スペイン産の鴨の燻製の下にシュタイヤーマルクの伝統料理レッチェ。トマトや玉ねぎ等色々なお野菜の煮込みです。
そして、前菜が
真魚鰹(まながつお)のマリーニレン ジロール茸のマリネ エスィックソース。
今治市の真魚鰹を、一番美味しいとされる神経締めにしたもの。生のまま1ヶ月もつのだそうです。
昨日届いた真魚鰹を一晩寝かせて出して下さいました。
何でも、こちらのお魚は以前、漁師さんが来店した時に、シェフのお魚料理を頂いて「このお店なら」と卸して下さる様になったとか。
プロフェッショナル同士のタッグです
ジロール茸はゼンメル粉を纏わせてフライに。
構成としては、シメジ等沢山のキノコのマリネの上に、厚めに切った真魚鰹が乗っていて、周りにジロール茸や舞姫と言う種類のフルーツトマトやスナップエンドウ等、沢山のお野菜が絵画の様に添えられている感じ。
そうそう、カットされた半熟のウズラの卵も良いアクセントに・・・・。
この真魚鰹が何とも言えず美味しいの。絶品とはこの事と思う位
トロの様に脂が乗っていて、しっかりとした歯ごたえが感じられて・・・・情けないけれど表現のしようがない。
プリプリと言うのと違うし、兎に角、肉質に物凄く弾力があって、スーパーに売っているお刺身は暫く食べられません。
多分、神経〆と言うのは、お魚にストレスを与えないと思うんです。
以前、フレンチのジビエ料理で、シベリアに渡る前の栄養を蓄えた青首鴨のお料理を頂きましたが、驚かせない様に網で捕まえて、ストレスをかけずにスッと首を折って〆ると言う方法の鴨でした。それを来店に合わせて熟成させるんです
銃で撃つと、血で肉が汚れるので網で掴まれるらしいのですが、〆る時に暴れると肉質にストレスがかかるので、いかにストレスを与えないかで美味しさが違うのだとか。
お魚も同じなのでしょうね。
お魚って痛覚が無いけれど、神経をスッと〆てあげる事で暴れないのが、肉質の良さに繋がるのかな?・・・・私の想像ではそんな感じです。
このお料理は見た目もすっごく素敵だったので、写真が無いのが本当に残念
※今回、私は熱く語り過ぎた様で、全文を1つに載せる事が出来ませんでしたので、2つに分けて掲載します。次はちゃんと写真付きですのでご安心して下さい。
直ぐにpart2に続きます…。