エレアノールと言う生き方 最終回-人生を後悔しない為にpart4― | Salon.de.Yからの贈りもの〜大事な事は全てお姫様達が教えてくれた。毎日を豊かに生きるコツ

Salon.de.Yからの贈りもの〜大事な事は全てお姫様達が教えてくれた。毎日を豊かに生きるコツ

元ワイン講師であり歴史家。テーブルデコレーションを習いに行った筈が、フランス貴族に伝わる伝統の作法を習う事になったのを機に、お姫様目線で歴史を考察し、現代女性の生きるヒントを綴ったブログ。また宝石や精神性を高め人生の波に乗る生き方を提唱しています。

音譜前回迄のあらすじ




ヘンリーの裏切によって自分の領地とヘンリーの持つアンジュー家の領地の切り離しにかかったエレアノール。

エレアノールは既に、愛などと言う幻想には未練はなく、自らの力でヨーロッパを相手に領土を拡大し、アキテーヌ家に再びフランスの王冠を手にすると言う野望に向けて、息子達とルイを駒に、ヘンリーを窮地に追い込んだのでした。

相次ぐ息子達の裏切りの陰に、エレアノールが糸を引いている事に気づくと、エレアノールを捉えて幽閉。

しかし、ヘンリーはその後、最愛の息子ジョンの裏切りによって、絶望の中、病により死亡するのです。音譜




リチャードによって、幽閉から解かれたエレアノールは、この時67歳。





王妃の姿に老いの影は無く、僅かに白髪と皺が加わったと言え、変わらず美しく、気力と瑞々しさに溢れていました。





囚われの服を脱ぎ、民衆に迎えられ、豪華な衣装に身を包み騎馬行列を行った王妃は「王妃様は今までで一番幸せそうだった」と民衆から言われたそうです。ニコニコ





晴れて自由の身となったエレアノールは獅子心王と呼ばれたリチャードのイングランド王戴冠式の準備に心血を注ぎ、3回十字軍遠征の帰途でリチャードが神聖ローマ帝国皇帝レオポルトに捕えられると、莫大な身代金集めに奔走。お金





リチャードを全面的に推し進めながら、エレアノール自身もイングランド全土共通の測量法や共通貨幣を導入し、家族抗争で荒廃したイングランドの立て直しを図ったのです。





リチャードの存在は、エレアノールそのものでした。


エレアノールの思想、政治理念、野望、その全てがリチャードを通して体現されたのです。





かつてヘンリーと共にイングランドとフランスを統合して一大王国を作る事を夢見たエレアノール。





若い愛人に夫を奪われ、ルイに嫡子フィリップが誕生した事でフランスの王冠を奪回する夢が絶たれた後は、エレアノールはヘンリーの遺産をリチャードに託し、親子二人三脚で夢に賭けたのでした。





しかし、運命はエレアノールにさらに過酷な未来を用意していました。





ある時、敵の放った矢を肩に受けたリチャードは、この程度の傷は大したことはないと、矢を抜き、いつもの様に、酒を飲み戯れていたのです。



しかし、矢を抜く時に、背骨近くまで達していた尖端が残り、その夜の内に容体が急変。ドクロ





リチャードは、一時は自分に牙を向けた弟ジョンを後継者にする様遺言を残すと、エレアノールの腕の中で息絶えたのです。天使





80歳に達しようとするエレアノールに休息の日は与えられませんでした。





政治能力もなく、時流に流され、その時の気分で父に弓を引い、兄を裏切る様な末子ジョンをエレアノールは信用していませんでした。





エレアノールはどうしても、この出来損ないの末子が好きになれませんでした。





エレアノールを頼るジョン。





エレアノールは考えた末、アキテーヌに馴染みがなく、アキテーヌ人から疎まれているヘンリーの下で育ったジョンを全面に出すのは危険が大きいと判断しました。





統治能力のないジョンの戴冠で、王権の弱った国家が反乱によって国土が荒廃するのを恐れたエレアノールは、領地巡回の先々で慈善を施し、多大な寄進をし、自治権すら与え、国の防衛を強めたのです。





77歳を迎えたエレアノールは、時に、国を守る為に大軍を送り、フランス王フィリップの嫡男である王太子ルイと孫娘のブランカを婚約させる為、老体にムチ打って、ピレネー山脈を越えカステリア王国への旅を遂行したのです。馬





エレアノールはかつて自分が失ったフランス王妃の王冠を、やがてフランス読みでブランシュ王妃と呼ばれる孫娘が取り返してくれる事を願ったのです。





アジュー家とアキテーヌ家の負の遺伝子を受け継いだ様なジョンは、相次ぐ反乱を抑える事が出来ませんでした。





死期の迫った最晩年。フランス王フィリップはアンジュー家最後の砦ルーアンの街を攻撃し、難を逃れたエレオノールは、その落ち着き先で、ガイヤール城落城の知らせを聞きました。





エレアノールはいつかはこの日が来る事を予見していたのでしょう。





エレアノールはヘンリーと築いた王国の最後を見届けると、静かに、83年の波乱に満ちた生涯の幕を閉じたのでした。天使





数年後、エレアノールの孫娘の頭上には、フランス王妃の王冠が輝き、ここにエレアノールの悲願だった、フランス王家の王冠をアキテーヌ家の頭上に戴冠する夢を達成したのでした。王冠1




<ポイント>

若い頃の思慮の足りなさは仕方がない事。そこから学習する事が大事。

そして、どんなに波乱万丈な人生であっても、自分の信念に基づき、生ききったならば、どの様な結末を迎えても人生を悔いる事はありません。ニコニコ