ワイン作りの現場から酪農・農業、TPPを考える | Salon.de.Yからの贈りもの〜大事な事は全てお姫様達が教えてくれた。毎日を豊かに生きるコツ

Salon.de.Yからの贈りもの〜大事な事は全てお姫様達が教えてくれた。毎日を豊かに生きるコツ

元ワイン講師であり歴史家。テーブルデコレーションを習いに行った筈が、フランス貴族に伝わる伝統の作法を習う事になったのを機に、お姫様目線で歴史を考察し、現代女性の生きるヒントを綴ったブログ。また宝石や精神性を高め人生の波に乗る生き方を提唱しています。

TPPも概ね合意し、紙面でも今後どの様に変化するのか見かけます。


消費者にとっては、関税が下がる反面、果たして食品の安全性は保たれるのか、一方、生産者にとっては死活問題がかかっています。


「輸入バターが市場に入れば、バター不足の解消になる」と安易にTVで発言される度に、




それって、泣く泣く酪農を辞めていった酪農家達に対して酷くない?

人を馬鹿にするにも程がある、と思ってしまうんです。


はい、私、怒ってますプンプン


勿論、これには賛否両論、色々な意見があるでしょう。


私には難しい事は分かりませんし、酪農を辞めた背景には、もっと複雑な問題があるのかも知れません。


私はワイン作りを基準としてしか語れないし、ワインと酪農って関係あるの?とお思いだと思いますが、まぁ、聞いて下さい。


ワインを勉強して感じたのは、ワイン作りって農業だと言う事です。


缶ビールや缶チューハイと違って・・・勿論、パック売りの粗悪なワインは別ですが・・・ワインって、元になる葡萄が健全な良い葡萄じゃなくちゃ、良いワインが出来ない。


スーパーで売っている千円かそこいらのワインなら、並みの葡萄で十分だけれど、きちんと評価されるワインを作るには、それ相応のポテンシャルの高い葡萄でなければ、作れないんです。


では、良いワインとは、どんなワインか。


甘味や酸味、渋み等のバランスが取れていて、これらの構成要素を点で結んで図形にした時、図形が大きい方がエレガントであり、長期熟成が可能だ。


そして、新樽など樽を使っても、樽からの要素に負けないだけの果実味がないと、ポテンシャルの高いワインとは言えない。


では、ポテンシャルの高い葡萄を作る為に、農家さん達はどうしているのか?


葡萄は、密植すれば、養分を求めて根が地中深く張る為、凝縮した葡萄が出来る。

逆に地表浅く根を張った葡萄からは、雨水を吸い上げてしまう為、水っぽい葡萄になってしまう。


勿論、密植したは良いけれど、実った葡萄房全てを使ったら、房数が多い葡萄果汁は薄っぺらくなってしまう。

1本の樹になった葡萄の房を、惜しげもなく切り落とし、最良の房だけを数房残して、ミネラル分や風味の凝縮した、選ばれた葡萄のみから作るのだから、いかにロスが出るかお分かり頂けるだろう。


しかも、畑が健全でなければ、孫やそのまた孫の世代になった時にワイン作りは出来なくなってしまう。


除草剤を撒かず、農薬を使わず(又は減らす)、殺虫剤も撒かない。

如何に、午前中の光合成が活発な時間に、日光を浴びさせ、風通しを良くする為に葉っぱを選定する等、農家さんの作業は、気の遠くなる程多い。


冬になれば、畑にストーブを焚き、春の遅霜から葡萄を守る為に水を撒く。

健全な葡萄粒を得る為に、腐敗粒を取り除き、手摘みをする。

トラクターの入れない急斜面での作業etc


勿論、畑作業はここに挙げた以上にある。


農家さん達は、朝早くから夜遅く迄働き、毎日、畑の状態を管理する。

夏は日焼けで首筋まで真っ黒になる、重労働のお百姓さんそのものだ。


で、何が言いたいのかと言うと、これを酪農に・・・いや、米農家、野菜農家、それぞれに当てはめて欲しい。おうし座


これだけ手をかけて、日本の台所を支えて来たのに、廃業せざるを得ないとは気の毒ではなかろうか。


手塩にかけて乳牛を育て、時流によって泣く泣く家業を手放して来た酪農家達がどれだけいるだろう。


それを軽々しく「バター不足が解消されますね」だぁ?!

そりゃ、気の毒だろう、と思ってしまうのですよ。


私は何もTPP反対とは言わないけれど、意欲的な生産者達は何かで守られるべきだと思う。


世界経済と言うサイクルの中で、個々の農家が守られて行く事は非常に難しい。

時代の流れと共に、失われる産業は、何も農家さんだけでは無い。


だが、しかーし!


だれか、一部の人だけが煽りを喰うのは、何とも切ないよね。しょぼん


残念な事に、消費者もpay出来る金額に限りがあるから、毎日食卓にあがるトマトに¥600を出すかと言われれば、二の足を踏んでしまう、現実があるけれど。



私達は、真っ当な物を真っ当な価格で食べたいだけ。

そして、消費者や生産者等、なるべく多くの人にとって最良の選択となって欲しいと思う。


自分の身を斬らない政府達に、国民の声は届かないかも知れないけれど、綺麗事なのは重々承知だけれど、おまけにこのブログ、纏まりがついてないけど、何かやるせないです。