そう云うと
タマコは赤いパンタロンを穿いてジミーチュウを履いた
僕はどうだろう
背中にスカルのジャンパー、そしてベージュのラッパだ
少し恥ずかしいんだけど
タマコのラッタッタはにべもない
駅に着くと
「あれ、アトムがいなくなってる」
僕が叫ぶと
「今頃気付いたんか」
タマコはそう云ってメットを脱ぐと
「あてはゴーゴーや」と云った
「いや風龍や」と僕は答える
どうやらタマコの今日はカレーらしい
が、僕こそゆずれない
何しろ今日はラーメンが食べたくて食べたくて仕方がないのだ
「なにがなんと云おうとゴーゴーや」
「いや、テッコウ弾あめあられでも風龍や」
するとタマコは
「ほうか、テッコウ弾か。さすがにそれはしゃれにならんわな。ほなゴーゴーと風龍のあいだをとって安土や。うん安土に決まりや」
僕はもうラッタッタに乗らされていた
「な、カレー蕎麦うんまかったやろ」
「うん、ここにもアトムがいたね」
僕がそう答えると
「いや、そうでもないねん。街灯についとったアトムの看板も消えてしまってん」
タマコはそう答えると寂しそうに中空を見上げた
どの街灯にもアトムは消えてなくなっていた